大谷翔平という才能と希望

平成最後の年度がスタートしました。一気に春を通り越したような暖かさのせいか、例年以上に変化の予兆を感じます。とりわけ真っ赤なユニホームが似合う23歳の若者の悠然とした佇まいは、ポスト平成が決して悲観する時代ではないと予感させるもののように、僕には映ります。

大谷翔平という才能と希望
(画像引用: NHK BS1)

岩手県で生まれ育った野球少年は、文字通り「並外れた才能」を持っていました。その突出ぶりは、春のセンバツで大阪桐蔭・藤浪晋太郎のスライダーを苦もなくスタンド中段に打ち込んだホームランと、夏の県予選で投じられた地を這うような160キロのストレートを見れば、一目瞭然でした。その年は、大阪桐蔭が春夏連覇を果たし、彼と藤浪が高校ナンバーワンと評されましたが、投手としてだけでも2人を比べるのは可哀想だと思えるくらい、ズバ抜けていました。

その当時、僕は、NHKで「NEWSWEB 24」という異色のニュース番組の編集責任者を任されていました。とにかく彼の凄さを知ってもらいたくて、「深知り」という10数分の枠で半年足らずに2回も特集したことを憶えています。知る人ぞ知る野球アナリストの小関順二さんをゲストに迎え、投打とも従来の常識を超えるポテンシャルの高さについて語ってもらいました。そこまで伝える存在かなと番組スタッフは半信半疑でしたが、間違っていなかったと自負しています。

プロ入り当初、彼が目指す「二刀流」について、肯定的に語っていた野球解説者は、皆無だったのではないでしょうか。旧来の流儀を重んじる張本勲はもちろん、合理的な戦法を野球界に持ち込んだ野村克也でさえ、止めた方がいい、投手に専念すべきだ、と忠告していました。現役時代に実績を残した人物ほど、その傾向が強かったように思います。そうした状況で、一流選手とは言えなかった栗山監督が、先入観を排して彼の成功を導いてくれたことは、本当に僥倖でした。

大谷翔平という才能と希望

大谷翔平は、メジャーリーグの初打席で初球をフルスイングして、ライトへ初安打を放ちました。そして、きょうの初登板のマウンドでは、初球にストレートでストライクを取ると、堂々たる投球で初勝利を挙げました。内容以上に改めて目を瞠ったのは、その立ち居振る舞いです。オープン戦では全く振るわなかったにもかかわらず、不安げな素ぶりも高ぶる様子も感じられませんでした。三振を奪ってもホームランを打たれても、ゆったりとした落ち着きは変わりませんでした。

初安打の試合後、外国メディアから「父親からのアドバイスで一番タメになったことは何か」と聞かれた大谷翔平は、「1塁までしっかり走ること。初歩的なことだけど、すごく大事なことです」と答えています。長いシーズンの間には浮き沈みがあるはずですが、当たり前のように全力疾走を続けている限り、投打ともに僕らを納得させる成績を残すだろうと思います。そして、その先には誰も成し得なかったことを必ずやってくれると期待しています。

大谷翔平という才能と希望

大谷翔平は、岩手県で生まれ、岩手県の学校に通い、北海道の球団で実績を重ね、アメリカへ渡りました。地方から東京を経ずに世界へ羽ばたいていきました。これだけの逸材を生み出す底力が日本の地方都市にあるんだと実感させてくれます。

ポスト平成の地方都市は、中央に頼らずそれぞれのやり方で世界に適応できる人材を育て、その魅力によって新たな人たちを呼び寄せ、活力と安定を保っていく。自然体の大谷翔平を見ながら、そんな希望を抱いています。


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