電通女性社員の過労自殺が問いかけるもの

働くことを根本から問い直す時機が、来ているのだと思います。最高学府を卒業して国内最大手の広告代理店に就職した24歳の女性が、1年も経たずに過労自殺する―初めての「過労死白書」 が公表された日に明るみに出たニュースは、長時間労働、パワハラ、セクハラ、世代間ギャップ、 働くことをめぐる様々な歪みを象徴しています。 

電通女性社員の自殺は労災 入社1年目、三田労基署 – 共同通信 47NEWS

女性は、亡くなる直前までツイッターに悲痛な思いを書き込んでいました。

「休日返上で作った 資料をボロクソに言われた。もう体も心もズタズタだ」

「男性上司から女子力がないだのなんだ のと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても、我慢の限界である」

こうした思いを感じながら働いている若い女性は少なくないと思います。残業やパワハラという点では、男性も同様でしょう。 一方で、自分も若い頃は同じような経験をして仕事を続けてきたと、冷ややかに受け止めた人もいました。ある大学教授は、「残業が100時間を超えたくらいで過労死するのは情けない」とfacebookに投稿しました。(のちに謝罪するコメントを出しましたが) 

電通女性社員の過労自殺が問いかけるもの
 *写真引用:www.tokyo-np.co.jp 東京新聞

この10年間に、統計に現われるだけでも、過労によって鬱や自殺に追い込まれる若者たちが急増しています。安倍政権もようやく、長時間労働の是正に向けて旗を振り始めましたが、長時間労 働の裏には、年次・序列を過度に重んじる風土や、拭い難い男尊女卑の意識が存在しています。そうした日本の社会全体に浸透しているパワハラ・セクハラの温床が、大勢の女性や若者を過酷な状況に追い詰めていることを再認識すべきだと思います。ただ単に自分より早く帰ることが気に入らない。自分の支配下に置きたいがために外見や性格にまでダメ出しをする。こうしたことに全く身に覚えがないと言える人は、自分も含め、どれだけいるでしょうか。

電通女性社員の過労自殺が問いかけるもの

日本の働くことをめぐる状況は、バブル経済崩壊後の「失われた20年」で大きく変わりました。 かつてのような右肩上がりの経済成長は望むべくもない中で、非正規雇用が4割を超え、少なく なった正社員の競争も熾烈になっています。そこに本格的な人口減少時代の到来が重なり、人手 不足が深刻になりつつあることで、女性も男性と同等に働くことを促す制度改革が進められよう としています。それは本来あるべき方向に進んでいるとも言えますが、社会の因習や国民の意識が急激な変化に追いついていない現状では、様々なところに歪みが生まれているはずです。地方の母子家庭で育った女性が、一生懸命勉強して東京大学に進学し、難関の就活を乗り越えて入社した一流企業で過労自殺に追い込まれる。今回の労災認定は、歪みの大きさを象徴しています。 本来であれば救いの手を差し伸べるはずの労働組合や行政組織も、十分な役割を果たせていません。

この問題が報じられた先週末以降、ネット上では今も様々な意見や投稿が飛び交っています。「自分がされたことを決して忘れず、自分もされたからといって、絶対に誰かにしていいなんて思わない」―あるブログの一節です。一人一人の行動で働くことの負の連鎖を断つこと。 いま直ちにやらなければいけないと考えます。


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