「大義なき解散」報道を受けて、ブログに「安倍1強、多元主義を問う選挙」と書いてから半月。小池百合子東京都知事が自ら国政政党の党首となって疾風怒濤の動きを見せ、衆議院選挙は、混沌とした状況のまま公示日を迎えようとしています。松本で政治の激震を眺めながら、脳裏に浮かんできたのは、24年前の「政治改革選挙」です。
自民党の中枢にいた小沢一郎氏と羽田孜氏(8月28日逝去)が「政権交代可能な2大政党制」の確立を旗印に推し進めた政治改革は、◇選挙制度を中選挙区制から小選挙区制へ、◇政治資金を企業献金から政党助成金へ、それぞれ変えることが大きな柱でした。選挙制度は重複立候補を認める比例代表を並立させることに、政治資金は企業献金を事実上継続させることに、修正を加えましたが、自民党を飛び出した小沢氏が35議席を獲得した日本新党の細川護煕代表を首班に担いだ非自民連立政権の下で実現に漕ぎ着けました。僕自身は、ちょうど政治記者になったばかりで、連合の幹部や社会党の反対議員の取材に明け暮れていました。
政治改革が争点となった24年前の第40回衆議院選挙で、日本新党から立候補して初当選したのが、今回の激震の中心に位置する、小池百合子氏であり、前原誠司氏であり、枝野幸男氏です。小池氏は、日本新党→新進党→自由党→保守党→自民党→都民ファーストの会→希望の党と、多くの政党を渡り歩いてきました。その政党遍歴を通じて培われたであろう反射神経の良さや貸し借りの少なさ、細川・小沢・小泉という有力政治家の近くに身を置くことで体得した政局観やメディア戦略が、この半月の劇場型政治に凝縮されているように見えます。
その小池氏と前原氏がどこまで気脈を通じていたかは詳らかでありませんが、前原氏は、自身が述べているように、民主党政権の失敗で風前の灯になりつつある「政権交代可能な2大政党制」に再び近づけるためには、民進党の解体につながる危うい道に踏み込まざるを得ないと考えたのだろうと思います。ただ、前原氏に対して「邪魔はしない」と答えた枝野氏が、袂を分かち別の新党を立ち上げることまでは覚悟していなかったはずで、「全てが想定内だ」という言葉は、苦しい心境の裏返しのように聞こえます。
今回の解散・総選挙を仕掛けた安倍総理大臣も、「政治改革選挙」の初当選組です。当時の政治改革の議論を振り返ると、「グローバル化に対応できる強い政権」をつくることが、「政権交代可能な2大政党制」と並ぶ、もう1つの目的として語られていました。得票数の差に比べて議席数の差が格段に大きくなる小選挙区制度と、派閥や議員個人から党首や執行部へ権力を移行させた政党助成金制度は、首相官邸に権限を集中させる行政改革と相まって、強力な長期政権を生み出しました。それこそが、「安倍1強体制」です。
行き過ぎた権力の集中とその長期化は、強引な法案審議や情報の隠蔽、言論の統制や身内を優遇する政策決定につながることを浮き彫りにしました。今回の衆議院選挙は、いみじくも「政治改革選挙」で初当選した4人が、それぞれ主要な役回りを演じて争われます。民進党がバラバラになり、小池劇場に翻弄され、国民が選択の基準を見出しにくい状況ですが、僕自身は、政治改革の原点を思い起こし、改めて「安倍1強、多元主義を問う選挙」と位置づけて向き合いたいと思います。
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