故郷・松本に戻って、7か月が経ちました。クラフトフェアやまつもと大歌舞伎に内外から大勢の人たちが訪れ、松本山雅の活躍に市民が盛り上がり、外国人観光客で街が賑わっています。それでも、もっと元気で、もっと豊かな松本にできるはず、そう考えることが少なくありません。そうした気持ちを共有する若い世代の人たちと議論する場を作りたいと思っています。
NHK時代のおととし、「ジセダイの逸材」という不定期のラジオ番組の企画提案が通り、司会を務めました。3か月に1度、週末の夜の2時間、政治思想・資本主義論・メディア論・地方論・ 戦争論・労働論という硬派なテーマを掲げ、これからの時代を担う30~40代の人物をゲスト に招き、それぞれの課題といかに向き合うかを討論する番組でした。自分が50代となり、若い世代の才能や新しい感覚をもっと広く伝えたい、そうすることで課題を克服するヒントが見えるはずだ、そういう思いがありました。殊のほか硬いテーマで、かつ不定期の番組だったために、多くの人たちに知られる番組とはなりませんでしたが、自分たちの世代がやるべき仕事ができたと思っています。
トークライブ「ジセダイと語る 松本のプライド」は、同様の動機から企画したものです。様々な分野で活躍する若手の代表を紹介することを通じて、松本市が抱える課題や未来について同世代の人たちに考えてもらおうと思いました。大都市に比べると、松本市は、年配の方々の隠然たる影響力が強く、若い世代が本来の力を発揮できないでいる、そうした状況を突破することが僕らの世代の役割ではないかという思いもありました。
「ウェブ革命が未来を創る」と題した昨夜の第1回は、スタッフを除いて30人近くの参加 がありました。ゲストに招いた、「ナガブロ」という地域限定のブログポータルサイトを運営し、自らを”ウェブ屋”と称する草間淳哉さん(38)は、ウェブ=ネットの可能性と限界を率直に指摘してくれました。議題の整理や資料の提供などで至らない点もありましたが、参加した人たちが発言できる仕組みを作ることは、極力心がけました。30代の女性は、自分のフェイスブックに 「発言できないだろうな、と思っていたけど、たまたま機会をいただいて、少しだけ発言してきました。大きなことはできないけど、ここに生まれたからには何かやらないとね」と記していました。
「多様な意見を汲み取る仕組みを設けると意見は拡散しない」という一文が印象に残っています。 先に傍聴に行った市議会は、オール与党で自由闊達に議論を行う雰囲気ではありませんでした。 総事業費100億円の「新博物館」建設の地元説明会では、担当部長が事後報告になったことを陳謝し、経緯や内容の説明らしい説明はなされませんでした。
松本に住む若い世代は、まちづくりや行政のあり方に大きな関心を持っていると感じます。機会があれば、自分の意見を伝えたいと思っているはずです。「談論風発」=風が勢いよく吹くように活発に議論する。そういう空気を若い世代と共に作っていくことが、僕の役割だと考えています。
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