シルバーの時代に向き合っていく

「シルバータイムドラマ」と銘打った昼の帯ドラマが、静かな話題を呼んでいます。僕もたまたまクルマを運転しているときに、このドラマの音声が聞こえてきて、その設定の奇抜さに耳をそばだてていました。「テレビに功績のあった者だけが無料で入れる老人ホーム」を舞台に、70〜80代となった往年のスター俳優が共演する会話劇。何をいまさらと思う一方で、登場人物のセリフに引き込まれている自分がいました。

シルバーの時代に向き合っていく

「だいたい世の中、高齢化社会になっちまった。若い者は、テレビ離れを起こしてる。ところが、テレビ局だけが、ゴールデン神話から抜け出せないんだ」。

脚本は、倉本聡さん。「北の国から」は、僕のバイブルでした。「やすらぎの郷」と題したドラマの主たる登場人物は、かつて一世を風靡して今は老人ホームで暮らす大女優たちと、倉本さんを彷彿とさせる脚本家。それらの役を演じるのは、浅丘ルリ子さん、加賀まりこさん、八千草薫さん、石坂浩二さん。視聴者にはフィクションと現実が時に交錯する構成となっています。面白いかと聞かれれば、正直それほどとは思いません。しかし、見始めると気になって、目を離せなくなるようなところがあります。それは何故なんだろうか。ドラマでは、しばしば彼女たちの若い頃の写真が出てきます。その美しさと年老いた今の姿との落差が、理由の1つのような気がします。倉本さんは、朝日新聞のインタビューで、「厚化粧のまま出るって言う人もいれば、すっぴんのまま出るって言う人もいるけれど、そこにそれぞれの生き様が出るわけです。でも手を映すとシワだらけっていうね。その面白さと残酷さですよね」と話しています。年を取るとは、どういうことか。年を取ってから、どういう生き方をするか。普段は目を背けている問いに、否応なく向き合わされているのかもしれません。

シルバーの時代に向き合っていく
(グラフ引用:mainichi.jp)

今週公表された推計で、日本の人口は、50年後に8800万人程度となり、15歳から64歳の現役世代は現在より40%以上減少するとされました。毎日新聞は、高齢者にとって「引退しない時代」が目前に迫っていると表現しています。老年学会は、65歳以上とされてきた高齢者の定義を75歳以上に改めるように提言しています。日本は、従来の高齢者を高齢者の枠組みから外さなければならないほどに高齢者が増え、高齢者をめぐる問題がますます大きな比重を占める、「シルバーの時代」を迎えようとしています。だからこそ、倉本さんのドラマは、リアリティーを持って受け止められ、反響を広げているのだと思います。ただ、時代の要請で、これまで以上に高齢者に焦点を当てることが様々な面から必要だと承知しながら、高齢者が主役の社会でいいんだろうかと、どこか釈然としない気持ちがあります。

シルバーの時代に向き合っていく

NHKの朝の連続テレビ小説「ひよっこ」は、1964年の東京オリンピック前後の時代を描いたドラマです。茨城県が舞台でありながら、ヒロインが通う高校のロケ地が僕の母校の松本深志高校という所縁もあって、初回からほぼ毎朝観ています。桑田佳祐さんの「若い広場」を聴きながら、やっぱりドラマの主役には若者がふさわしいと感じます。「右肩上がりの時代」だろうと、「シルバーの時代」だろうと、変わらないのではないでしょうか。どんな時代でも、希望や未来が必要です。それを体現できるのは、子どもや若者たちです。主役が交代することで、新たな活力が生まれ、社会は続いていきます。寿命が伸びるお年寄りの現実や葛藤に耳を傾け、いずれ自分も同じ境遇を迎えることを自覚しながら、若い世代が主役となれる社会を作っていく。「シルバーの時代」に向き合う、僕のスタンスです。


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