フランスをはじめヨーロッパの人たちにとって、夏のおよそ1か月の長期休暇=「バカンス」は、 人間が生きていくために必要なもの、と考えられているそうです。さまざまな立場から、働き方 改革が叫ばれる今、日本でも「バカンス」を実現することは、絵空事でなくなるかもしれません。
発祥の国フランスで「バカンス」が庶民にも根付いたのは、高度経済成長が続いた1960年代。 社会党のミッテラン大統領が就任した80年代には、労働条件の一部として5週間の有給休暇が 法律で認められ、社会主義的政策の一環として制度化されてきました。連続して休むことで心身 ともに健康を回復することが、「バカンス」の本来の目的とされています。
日本の場合、有給休暇は、1日や半日単位で取得するのが一般的で、取得率は先進国で並外れて 低い水準にとどまっています。そうした中で、参議院選挙で大勝した安倍総理大臣が、内閣改造 後の最大のチャレンジとして打ち出したのが「働き方改革」です。信任の厚い加藤勝信氏を担当大 臣に据え、厚生労働省の大規模な組織改編も行う方針で、どこまで労働者側の視点に立っている のか懐疑的な見方もありますが、本腰を入れて取り組もうとしていることは間違いなさそうです。
厚労省、概算要求31兆円超 「働き方改革」へ組織再編:朝日新聞デジタル
「働き方改革」の中で安倍政権が真っ先に掲げているのが、長時間労働の是正です。労働基準法 を改正して事実上青天井となっている労働時間に上限規制を設けることなども提言されています。 残業が減って手取り収入の減少につながる現実にも目を向けながら、先進国にふさわしい仕事と 家庭のバランスが取れた暮らしを実現する機会と、前向きに捉えるべきだと思います。
30数年ぶりに住まう地として夏を過ごした信州・松本は、将来的に「バカンス」の適地になり 得ることを実感します。涼しくて爽やか、清涼感あふれる景色は、何者にも代え難い地域資源です。 車で30分余りで登山口に到着する北アルプス登山の魅力も、実際に体感することができました。 国際的な音楽の祭典、日本を代表するロードレース、家族で日がな過ごせる都市公園、都会的な センスを感じるバーや料理店も点在しています。ひたすらアウトドアスポーツをして過ごしたい人、 民家を借りてのんびりと田舎暮らしをしたい人、都会的な生活の要素も求めて休暇を取る人etc. さまざまな人たちの長期休暇のベースキャンプになれる地方都市の代表が、松本です。
この夏、新たに8月11日が「山の日」の祝日となり、お盆休みの期間が少し長くなりました。 元々リベラル勢力が掲げてきた長時間労働の是正や有給休暇の取得を、安倍政権が「働き方改革」 と称して実現を目指す状況は、同床異夢の面もあるとは言え、人口減少時代にどのように生きて いけばいいか、国民の間にコンセンサスができつつあることを表しています。1か月の「バカンス」 が実現すれば、単純計算で現在の4倍を超える観光需要が見込まれます。限られた時間で生産性 の高い仕事をして、家族と有意義な時間を過ごし、夏は「バカンス」を楽しむ。そうしたライフスタイルが日本で遠からず実現することを見越して、家族が安く長期滞在できる社会インフラや、 美しい自然と都会的センスを生かした街並みを、今から準備していくことが必要だと考えます。
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