北朝鮮による中距離弾道ミサイルの発射で今夏2度目のJアラートが発令され、『ひよっこ』の放送が中止となった翌朝、安倍総理大臣が臨時国会冒頭に衆議院を解散し、10月下旬に総選挙が行われる見通しになったというニュースが、NHKから流れてきました。前日に信頼できる筋から、「急展開で冒頭解散に傾いている」という情報を耳にしていたところでしたが、果たして何を問う選挙にするべきなのか、連休に松本市内を回りながら自問自答しました。
「大義なき選挙」。その指摘は間違っていません。ただ、だからダメなんだとそれだけで共感する国民は必ずしも多くないと思います。日本では永く、「解散は総理大臣の専権事項」とされてきました。今の憲法の下では、解散の理由を制限する条項はありません。政権基盤を強化するために、政権担当期間を伸ばすために、自らに有利な時期を選んで解散することは、政治が権力闘争の側面を持つ以上、仕方がないとも言えます。大義がないことを徒らに叫んでも、投票率を下げることにしか繋がらないでしょう。
では、何が問われる選挙なのか。解散報道の翌日、自民党の萩生田幹事長代行は、安全保障法制がどう機能しているかが争点になるという認識を示しました。ところが、この観測気球は評判が悪かったのか立ち消えとなり、昨日の各紙では、消費税率10%への引き上げを再来年秋に予定通り行い、増収分を教育の無償化や社会保障の見直しの財源に充てることが、自民党の公約に盛り込まれると報道されました。これは、民進党の前原代表が先の代表選挙で訴えていた内容です。政界では「理屈は後から貨車で付いてくる」という言葉がありますが、安倍総理大臣は、国連総会から帰国して公式に解散を表明するまでの間に、メディアや野党の反応を見ながら有利な論点を絞り込む腹づもりとみられます。
そうであれば、やはり一義的に問うべきことは、前回の衆議院選挙から3年近く、与党が3分の2以上の議席を占め、首相官邸に権力を集中して運営されてきた、「安倍1強体制」の功罪だと考えます。経済面では、消費税率引き上げの再延期や反緊縮的な財政政策を実行し、景況感や雇用者数を一定程度上向きに保ってきました。一方で、国論を二分していた安保法制と共謀罪法を、憲法との整合性や人権の制約といった懸念に十分に耳を傾けることなく成立させました。さらに、森友問題や加計問題をめぐり、情報の隠蔽や身内を優遇する政治姿勢が浮き彫りとなりました
今回の選挙で、与党が過半数を割り込み、民進党を中心とする政権に交代することは、政党支持率などから見ても、あり得ないと考えていいでしょう。要は、改めて3分の2の議席を与えて「安倍1強体制」をさらに継続するのか、与野党の議席差を縮めて1強体制にブレーキをかけるのか、の選択です。その際には、3年間の安倍政治の評価に加え、◇北朝鮮情勢が緊迫している中での憲法改正発議の是非、◇来年の自民党総裁選で安倍3選と新総裁選出(=首相交代)のどちらを望むのか、が判断材料になります。
長期政権による1強体制は、松本市にも共通する政治状況です。批判や異論に神経質で議論を避ける空気が市役所や議会に広がり、市民の目に見えにくいところで不透明な意思決定が行われています。松本城公園のビアフェス中止や新市庁舎の建て替え問題などを見るにつけ、自由で活発な雰囲気が失われ、新しい感性を活かした賑わい作りや未来を構想した公共投資が妨げられることになっています。利害や信念の多様性を肯定して議論や交渉によって結論を出していく「多元主義」の政治に立ち戻るべきだと考えます。
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