臆病は伝染する。勇気も伝染する。

先週末、久しぶりに渋谷へ足を運び、スクランブル交差点やセンター街の喧騒を肌で感じました。
NHKの行き帰りに通っていた2年前と比べても、アジアをはじめ海外から訪れる人たちが一段と増えていて、多様な群衆の熱気とパワーが伝わってきました。ちょうどその日に告示された東京都議会議員選挙は、安倍1強の局面を大きく変える衝撃をもたらすかもしれないという観測が流れています。

臆病は伝染する。勇気も伝染する。

2009年の東京都議選は、民主党が大勝して、自民党が44年ぶりに第1党から転落。翌月行われた衆議院選挙で民主党が政権交代を実現する呼び水となりました。その民主党政権の自滅から4年余り、安倍1強体制は、半永久的に続くのだろうかという錯覚に陥ってしまうほど、盤石な状況を築いてきました。今年3月の自民党大会で総裁任期を3期9年へ延長し、2020年の東京五輪を跨いで政権を担当できる道筋をつけると、安倍総理大臣は、憲法記念日に「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と宣言し、自らの手で憲法改正を実現する姿勢を鮮明にしました。

臆病は伝染する。勇気も伝染する。
(写真引用:asahi.com)

潮目が変わったのは、振り返ってみると、先月下旬、前川喜平前文部科学事務次官が、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり、菅官房長官が「怪文書」と切り捨てていた文書を、文部科学省の内部文書として確かに存在していたと証言したことでした。直前に報じられた出会い系バーに頻繁に通っていたというリーク情報も、のちにそこで会っていた女性が実態を詳細に証言したことで、官邸周辺の思惑とは裏腹に前川氏の信頼性を高める結果となりました。この前川氏の告発が、様々な人たちに伝染していったように見えます。文部科学省の現役職員たちが、リスクを覚悟で文書の存在を証言し、前川氏を援護射撃しました。東京新聞の望月記者が、菅官房長官に何度も何度も怯まずに質問をぶつけ、政権側に文書の存在を認めさせることにつなげました。望月記者に呼応して、菅官房長官に食い下がる記者も出てきました。官邸担当だった元記者を強姦被害で訴えて不起訴処分となった女性が、名前と顔を公表して検察審査会に申立てを行ったことも、無関係ではないように思います。NHKも、内部でせめぎ合いを続けながら、萩生田官房副長官が加計問題で「総理は2018年4月開学と決めている」と発言したことを記録する文書をスクープしました。こうした動きの連鎖的な広がりが、盤石に見えた安倍1強体制を足元から徐々に掘り崩し、東京都議選の投票日を迎えようとしています。

臆病は伝染する。勇気も伝染する。

「臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する」。

NHKを退職する1年ほど前、伊坂幸太郎の小説『PK』で目にした、アルフレッド・アドラーという心理学者の言葉です。小説では、本人が意識していなくても、ささやかな勇気は必ず誰かに伝染するものだ、というメッセージが込められていたように思います。勇気については、こんな一節も印象に残っています。

「人間には選択する瞬間がある。決断の瞬間だ。フォワードが大事な試合で、ペナルティーエリアに入り、シュートに行くのかパスをするのか、それも決断の1つだろう。その時、試されるのは、判断力や決断力ではなく、勇気なんだと思う。決断を求められる場面が、人には突然、訪れる。勇気の量を試される」。

臆病は伝染する。勇気も伝染する。

東京都議選の波乱の予兆は、松本では感じ取れません。相変わらず、平穏な日常が流れています。市役所の新庁舎は、今月の議会で議論らしい議論もなく現在地に建設する方針が了承され、9月に結論を出す運びとなっています。新博物館の建設は、来月中旬に30人程度の傍聴者しか入れない会場でコンペが行われ、基本設計が決まる見通しです。いずれも松本城周辺で行われる100億円規模の公共投資ですが、幅広い選択肢や都市計画の見直しはほとんど議論されないまま、既定方針通り進められようとしています。ただ、潮目の変化は確実に近づいていると感じます。そのときに備えて、幅広い人たちと議論を重ねていきます。


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