炎天下の大乱戦でした。1回表に5点入ったことが、結果的に試合運びを難しくしたと思います。
投げるべきところへ投げない、投げなくていいところへ投げる、積極性と冷静さの歯車がズレて、唐澤の投球に粘りが見られないことも相まって、気がつけば5点のリードがなくなっていました。
しかし、ここから踏ん張る総合力が、今年のチームには備わっています。今大会初登板のもう一人の1年生・小林綾は、圧巻のピッチングでした。
これまで登板の機会がなかった鬱憤を晴らすかのように、松商打線をパワーで抑え込み、球威では弟・絃を上回ることを証明しました。ドイツで生まれ3年前に松本に引っ越してきた双子の兄弟。どこまで大きくなるのか、底知れぬ潜在力を感じさせます。
小林綾のピッチングで落ち着きを取り戻したチームは、6回表に相手左腕のスライダーに狙いを絞って4本の長短打を集中し、8-7と再逆転します。去年秋からの食トレで体重が平均7〜8キロ増えたというチームの地力を見せつけました。今年の3年生は、深志野球部史上屈指のレベルの世代として記憶に残ると思います。
再び同点にされて迎えた9回裏、まだ余力があるように見えた小林綾を小林絃にスイッチします。先頭打者にクリーンヒットを打たれ、盗塁も決められると、次の打者を歩かせて、無死1・2塁の絶体絶命のピンチ。100%送りバントの場面で、1塁手と3塁手がチャージをかけるサインプレーとバントのしにくい配球を駆使して、スリーバント失敗にすると、小林絃はキャッチャー上原に笑いかけました。ここでこれだけの余裕があるのか、改めて凄みを感じました。
同点で切り抜けられるかもしれないなと思った初球、1塁手と3塁手が再びチャージしてきました。もうバントしてくる場面ではありません。何をするんだろうと思った瞬間、バッターは状況を判断して強振し、打球はワンバウンドして1塁手の頭の上を越えていきました。サインを見間違えたのか、ベンチが混乱していたのか、炎天下の大乱戦は幕を閉じました。
35年前の夏、空港の近くにあった頃の松本市営球場で、深志は3回戦で佐久(現在の佐久長聖)と対戦しました。2点リードを追いつかれた9回裏、なお2死1・2塁でマウンドへ伝令に行ったのが、背番号10のキャプテンだった僕でした。
逸材と言われた2年生エースに、あまり気の利いたことが言えずに、尻をポンと叩いて帰ってきたという記憶だけが残っています。その直後、フラフラッと上がった打球は、必死に飛び込んだライトのグラブの数十センチ前に落ちて、砂埃が舞い上がりました。その光景は、鮮明に憶えています。
守屋監督は、きのう「深志の部員は野球を好きでいてほしい」と話していました。きっと、今年のチームは、そうなると思います。(敬称略)
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