カモメになったペンギンという寓話

氷山は溶けている。もうすぐ崩れるぞ!!

10年前に出版されたリーダーシップ論をテーマとする「カモメになったペンギン」という物語は、中間層のペンギンの気づきから始まります。リーダー格でもない自分が氷山の崩壊を警告したところで信じてもらえるはずもない、そう思って心細くなりながら、話を聞いてもらえそうなリーダーに会いに出かけることで、事態が動き出していきます。普段はビジネス書に食指は伸びないのですが、初対面の外国人に勧められて一気に読みました。

この本を勧めてくれたのは、アメリカから乗鞍高原に移住して11年になる、セツ・マカリスターさんという男性です。月1回、開催している「ジセダイトーク」というイベントのゲストにお招きするにあたって、事前の取材で訪ねたときに話題となりました。35歳のセツさんは、妻と5人の子どもと暮らし、自分より若い世代の仲間たちと共に乗鞍を「暮らせる山岳リゾート」にしようと活動を続けています。田舎の人たちに誤解を受けるかもしれないと思いながら、あえて名刺に記した言葉は、「出る杭になろう」。自分が正しいと思うことを行動に起こそうと呼びかけています。

カモメになったペンギンという寓話

「カモメになったペンギン」では、最初に危機意識を持ったペンギンが行動を起こし、それぞれ異なる個性を持つ5羽のペンギンが集まってチームを作ったことが、変革を成功させる最大のカギであると描かれています。発想力・行動力・統率力・好感度・論理性に優れたメンバーを人選することが望ましく、こうした少数精鋭のチームがあってこそ様々な抵抗や危機を乗り越えて目的を達成できるというわけです。この本の翻訳者で、リクルートから杉並区立和田中学校の校長に転身した藤原和博氏は、「最初の5人が肝心だよなあ」と述べています。僕も、全く同感です。

カモメになったペンギンという寓話

Made in Matsumotoのビールを作りたいと、松本でバーや酒屋などを営む3人が取締役になって設立した「松本ブルワリー」が、創立1周年を迎えました。持続的な需要があるのか、自社醸造は無謀じゃないか、と懐疑的な見方もあった中で、林幸一社長らは、独自の製法に基づいて委託醸造したクラフトビールの販売実績を積み重ね、松本城に近い場所に自前の工場を建設する用地の取得を進めています。パーティーには、彼らの挑戦を見守る同世代を中心とした仲間が集まり、原料となるホップを乗鞍高原で生産しようと試行錯誤している若者も顔を見せていました。「最初の5人」ならぬ「最初の3人」が、大勢の人たちを巻き込んで松本に新たな産業を興そうとしています。

カモメになったペンギンという寓話

松本駅から東へ1.5キロ、徒歩20分ほどの場所では、この秋に開業が予定されている「イオンモール松本」が、巨大な全貌を現し始めました。その巨大さは、中心市街地の商業施設に与える衝撃の大きさや、広範に予想される交通渋滞の深刻さを、否応なく呼び起こします。けさの地元紙は、駅前のバスターミナルに併設されるイトーヨーカ堂系の「アリオ松本」が閉店する方針を固めたと報道しました。松本が直面する今年最大の懸案に対しては、溶けかかった氷山の寓話が示すように、全体で危機意識を共有し、市民を挙げて新たな環境に適応していく手立てを実行することが必要だと考えます。


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