2019年12月22日に開催された「特別対談・がうん義尚×清宮克幸〜スポーツとまちづくり〜」の全文書き起こしです。
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清宮克幸(きよみやかつゆき)さん
1967年大阪府生まれ。1986年早稲田大学入学。2年時日本選手権優勝。4年時大学選手権優勝。
1990年サントリー(株)に入社・ラグビ一部入部。
引退後、早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。就任後5年連続関東大学対抗戦全勝優勝、大学選手権3度制覇。
2006年サントリ ーラグビ一部監督就任。2007年初のトップリ ーグチャンピオンヘと導く。
2011年ヤマハ発動機ラグビ一部監督就任。4年で日本一に導く。
2019年1月女性と子どもたちを対象とした総合スポーツクラブ、一般社団法人アザレアスポーツクラブを設立。
6月公益財団法人日本ラグビーフットボール協会副会長に就任。
スポーツとまちづくり|がうん義尚×清宮克幸
臥雲:皆さん、こんにちは。
会場:こんにちは。
臥雲:臥雲義尚でございます。今日は清宮克幸さんに、本当にお忙しところを松本まで足を運んでいただきました。これから清宮さんとは90分、スポーツとまちづくりというテーマで話を進めて参りたいと思います。清宮さん、よろしくお願いします。
清宮:こちらこそよろしくお願いします。清宮です。
臥雲:松本に先ほど着かれたばっかりだと思うのですけども、印象はいかがですか?
清宮:数ヶ月前に僕、講演で訪れていまして、左手にですねスタジアムを見ながら、車でずーっとお城の方ですかね?
臥雲:はい。
清宮:行って、凄く綺麗な街で。その日は山雅さんの試合があったんですよね。たくさんの人が歩いていて、すっごく活気を感じましたけども、その時だけだったんですか?
会場:笑
清宮:でも凄く活気のある綺麗な、歴史も感じられて、スポーツを観戦する人たちのエネルギーがあって、ちょっと高飛車というか上からな言葉ですけど、いい街だなぁっていう風なことを思いましたね。
臥雲:実は、私と清宮さんは直接の繋がりはなかったんですけれども、私の後輩の紹介でお話をさせていただいて、もし可能ならということでお願いしたところ快く引き受けていただきました。快くでよろしかったですかね?
清宮:嫌なら来ないです(笑)。僕の後輩ってならラグビーの大学の後輩なんですけど。その後輩が本当に人生で、会社に入って、1番尊敬する人が自分の人生の勝負に出るっていうから。そういう人を応援したいので、清宮さんちょっと会って下さいって言って、ご飯を食べるんですけど。ラグビー的にはそういう繋がりみたいなモノ、ものすごく大事なんですよね。
そうやって、チームってのは作っていくものですから。接点が1つあれば十分なんです。
臥雲:今日はよろしくお願いします。
清宮:はい。お願いします。
臥雲:もう、やはりラグビーの話から始めてさせていただけたらな、と思います。この間のワールドカップ日本開催。
本当にいろんな思いを皆さんがお持ちだと思います。清宮さん、まずこのワールドカップは日本人に何を遺したかという問いを投げさせていただくと、どういう風に思いますか?教えていただけますか?
清宮:スポーツの魅力っていう意味で言うとですね、凄いとか、面白いとか、かっこいいとかって言うのではなく、内面を日本の皆さんに届けることが出来たんじゃないかと思っているんですよね。
ラグビー精神みたいなものが評価されて、どちらかと言うと全部が外向けのものより、内側にあるモノ、内側にあるワードですよね。でもそう言ったものが、結果を出すことだったり、チームとして闘う事の素晴らしさだったりとか、今までわかっていたけど、言葉になってなかったよね、みたいな部分が凄く僕は届いたと思っているですよね。
その代表名詞が「One Team」という言葉があるんですけど、人がやらないこと、自分達しかやってないこと、そういうことでやりきることによって、1つの仲間、絆が出来て、熱が生まれるみたいなね。
改めて日本人が、大事な昔はそうだったよね、とか失ったモノとか、気づかなくなっているものを、今回のワールドカップでもう一度気づいたんじゃないのかなと。
僕は先週サッカーの岡ちゃん、岡田監督とご飯食べたんですけど。ワールドカップ終わって、もちろんそんな話(ラグビーW杯の話)になるじゃないですか。
いや清宮サッカー選手がなぁ、ラグビーのワールドカップの後に痛いフリをしなくなったんだって。要は、ラグビーのワールドカップの後にサッカー選手がアピールプレイをしなくなったらしいです。これは確実にファンたちの心とサッカーと他競技のプロの選手たちとのマインドがつながったとこですね。ワールドカップで。
臥雲:はい。
清宮:そうなんですよ。ああいう嘘のとか不正とか相手を騙すってことがカッコ悪いんですよ、みたいな部分が今回のワールドカップで見れたんじゃないのかな。
臥雲:日本でもやっぱりこの9月28日からだと思うんですけど、本当な意味で盛り上がった。アイルランド戦ですね。ランキング当時1位が、この試合は清宮さんは現地で見られたんですか?
清宮:はい。地元ですからね。
臥雲:この小笠山総合運動公園。
清宮:ちなみにですね。僕8年間ヤマハの監督をしていました。ヤマハのラグビー部っていうのは、ジュビロ、サッカーのね、ヤマハ・ジュビロと隣で練習しているんです。隣って言っても100メートル隣じゃないですよ。30メートル隣です。もう本当に私敷地の中で、ラグビーサッカーやっている仲間なんですけど。今回J2に落ちましてですね。何言いたいか分かりますね。はい。そういう意味でも(松本と)なんか仲間なんですよね。
臥雲:そうなんですよね。
清宮:ちょうど地元のスタジアムがエコパスタジアムだったということです。
臥雲:これもう、勝つんだ!という事は、清宮さんの目から見ても、そう見えていたんですか?
清宮:これはですね。ちょっとたまたまランキングが世界、この時2位だったんですよ。1週間前まで1位だったのが、その前の試合ぐらいで2位に落ちたですけど。僕はたまたまランキングが2位だっただけで、その長い年月、国のランキング、とりあえずダントツに強いのはニュージーランドなんですよ。
ニュージーランドは常に1位なんですよ。アイルランドを10年20年30年見たら、やっぱりアイルランドって7位か8位の順位なんですよ。たまたま2位にいましたけど、1位にいました。2位にいました。
で、ベスト8に残るチームに必ず勝たなきゃいけないってなった時に、どこに勝つか。2勝しないといけないんですよ。1番チャンスがあるのはスコットランドです。スコットランドは、もう直近で見ても長い目で見ても、ずっと8位なんです。だから、スコットランドの枠に入れば良いな、ブロックに。抽選ですね。もう1つどこに入れば良いかなと思った時に、アイルランドと一緒に入れば良いな、いうのがくじを引くときの思いの気持ちですよ。
なんと、これやったの安倍晋三さんなんですよ。安倍さんが、安倍さんが引いたのがAだったんですよね。日本代表はAに入ったんですよ。その後に、スコットランドの人とアイルランドの人がやっぱりAを引いて、Aになったんですけど。勝つならこの2つっていうチームが、同じ枠に入ったわけですよ。これあまり言わないですよ。言うと価値が下がるから(笑)。
臥雲:大会前はあまりそういう話なかったですよね。
清宮:大会前は(相手のチームは)強いんだ!強いんだ!と勝った時にやっぱり大きく盛り上がるためにはね。1位のチームに挑むんだ!っていうと、凄いな!って思うじゃないですか。でも実は7位8位なんですよ。このチームは。だからチャンスめちゃくちゃあると思ったんです。もうアイルランドに絶対勝てる。しかもアイルランドで1番良い選手が、世界ナンバーワンだと評価する選手がこの試合出てなかったですよ。怪我して大会に来てないんですよ。そんなの知らないじゃない。
会場:笑
臥雲:知らないです。もうナンバーワンとナンバーツーとあたるんじゃないかと。
清宮:そうですよね。だからもうね、僕らも、もちろんしてやったりだったんですけど。ファンの方たちの驚きはもうね。そりゃあ、世界ランク2位に当たるんですよ。
臥雲:この試合ご覧になった方は、どうでしょうか。どのぐらいいらっしゃいますでしょうか。もう(会場の)半分以上はご覧になっていますよね。私も本当にその、何かかわして勝つとか、いうことではなくて真っ向から行って、互角以上というか、素人から見てですけれども、そういう風に見えて、余計それがその非常に日本人としては、勇気づけられたなと思ったんですけども。それは、間違ってないんですかね。あの試合では。
清宮:そうですね。何回戦っても多分、10回戦うと大体5勝5敗。
臥雲:私はこの先程ワールドカップが日本人に遺したもの、ということ。もちろんそのスポーツの面で、いろいろ肉体面とか、そうしたものも大きいですけども。やっぱりメンタルと言いますか、気持ちの面でいろいろ考えることがございました。
臥雲:こちらちょっと言葉を並べてみたんですけども。本当に、今回その1つ結束することとかですね。そして、犠牲という言葉を選手の皆さん、試合が終わった後のインタビューでたくさん語られていました。全て犠牲にしてきた、これまで。だからこそ、勝つという風に強い気持ちで臨んだし、あるいは次の試合に臨むという時も、そういうことをおっしゃっていました。
一方でそうした結束とか自己犠牲という様なものに対して、まぁともすれば、個がなかなか見えなくなってしまう様なところがラグビーの場合、また無くてですね。選手一人一人がしっかり自立をしてる。ご存知の様に、ゲームが始まっちゃうと監督は、口出せませんので、それ見るとキャプテン中心に選手一人一人が自立をしている。そして皆さんご存知の様に、今回の日本代表チームには、日本国籍を持ってない外国人の選手たちもたくさんいる。それが日本人以上に日本人のメンタリティを持って、日本代表として活躍をする。
そして私は1番この品格という言葉を、スポーツであまり使う機会がないな、あるいは使うとしても少しネガティブな、そこまで必要かなということを思っていたんですけれども。ラグビーで品格という言葉も使われた中、非常に改めて私自身、ラグビーの魅力は凄いなと思いました。
私自身、野球をずっと大学までやっていた者ですけど、三流プレーヤーで、その中でラグビーは当時私の同時代で言うと、平尾誠二さんとかどっちかと言うカッコよくて、大学スポーツの1番花形がラグビーだった時代ですから。そうしたものとはまた少し違ったワールドカップ、そうした言葉に代表される様な精神性っていうか、そうしたことが言える様に私は強く感じました。
もう1つ実は、これも皆さんいろんな思いを持たれたかと思うんですが、国家を歌うということが、どのスポーツでも当然試合前に、国歌斉唱があるわけです。国歌斉唱あるわけですけども、それがまた1つ今回ラグビーでは、日本代表がその「君が代」を歌うこともそうですが、他の外国のチームの先導してくる日本の子供たちが、国歌をしっかり歌う。
これは非常に私は、新鮮だったと言いますか、新しいものを感じました。この点、清宮さんいかがですか。
清宮:今までお話に出た内容、歌ですよね。ラグビーは試合前に必ず肩を組んで国の歌を歌うんです。これは日本だけではなく、世界中の国がそうなんです。ラグビーはテレビに顔がちゃんと映るのはこの時だけです。あのキッカーは映りますけどね。
フォワードの選手とかは誰がどういう顔をしているかっていうのはほとんど映らずに、ただ歌を歌っている時は必ず抜かれるわけですよ。これも日本のというよりも、世界中のラグビーをやっている子供たちが自分の国のジャージを着た選手たちがあの舞台で試合前に歌を歌いながら、涙をする姿を見て、「俺もいつかあそこに立つ」、国を背負うんだっていうね、そういう気持ちになるのが、ラグビーの国歌斉唱なんですよね。
これはだから実は強制なんかしていなくて、だって世界中のラグビー選手がそうやって歌っているんです。もう感極まって、泣くわけですよ。なんで泣くの、っていうとこんな頃からの夢なんですよ。小さい頃からね。自分がラグビーを始めた時に、あのジャージを着てって、ここ繰り返しになりますけど、だから泣くこと何とも思わない。そういう文化がラグビーにはあるんですよね。
多分他のスポーツで試合前に泣くなんてちょっと考えられないっていうね、人は多いですけどラグビーの世界ではある。今回、W杯は日本人も外国人も本当に「君が代」を大きな声で歌っていましたし、会場のファンの声もですね、実はすごく良かったんですよね。「君が代」を歌うスポーツっていうのは、野球もサッカーももちろん歌うんですけども。このボリュームの大きさって、今回のラグビーワールドカップが1番だったかなって僕は思いました。
開幕戦は平原綾香さんが国歌斉唱したんですけど、「君が代」歌ったんですけど。これめちゃくちゃ上手いんですよ。上手すぎて、声が大きすぎて、平原さんの声しか聞こえなかったんですけど。実はもっと大きな声が後ろにあったっていう様な、そんな感じでした。
臥雲:日本の場合、戦前の歴史があって、「君が代」を歌うということは、私もどこか子供の頃から抵抗、あるいは逡巡、どういう風に向き合えば良いのかなというのは、いろんな思いがありました。あるいはこれまでもあるところがあります。そこが1つ私の中でも突き抜けたというのが、今回のワールドカップラグビーの、私は国家を歌うということが、自分にとってどういうことかということを改めて、考え、そして立ち位置がはっきりしたなぁと、ということが個人的にはございました。
スポーツの素晴らしさ、ラグビーの素晴らしさと同時に、この自分が生まれ育った郷土、あるいはその国、あるいは民族というものと向き合うんだ、と。しかもそれは、今回ラグビーの多様性というものと、合わせて日本人に対して向き合ってきたということが、非常にともすれば心の分断にもなるところが、1つ統合と言いますか、同じ方向に歩みを進めていけるんじゃないかなぁ、というそういう私は今回のラグビーの意見というか。
清宮:あれ見ました?大越さん。NHKの大越アナウンサーがアイルランドに取材に行った特集があったんですけど、この中で見た方います?
アイルランドという国は、ご存知の通り、北アイルランドと南アイルランドと未だに対立していて、国境があるんですよね。ただラグビーだけ、サッカーはあるんですよ、ラグビーだけこの国境がないんですよ。北の選手と一緒になっているとこがあるんですよ。その時だけ歌う歌、特別な歌っていうものを持っていて、その歌の取材を大越さんが行かれたんですよ。肩と肩を寄せ合ってみたいな歌があるんですけど。このアイランズコールという歌が国の歌として、国の歌っていうかラグビーのアイルランド代表を応援するそういう歌として存在している。多分、見れるアーカイブで。NHKの。すごく良い取材でしたね。大越さん。
臥雲:そうですか、ぜひまたチャンスがあれば。先輩に「お前見てないのか」って言われる。
清宮:いや、僕言いますから。見てなかったですよね。
会場:笑
臥雲:このワールドカップの話、もう1つ進めさせていただくと、
臥雲:これ清宮さんがインタビューで、お答えになっていた言葉です。清宮さんはワールドカップが開催する前に、日本のラグビー協会の副会長に就任されて、そしてこういう風に思われた。つまりこのワールドカップ開催というのは大改革のチャンスなんだと、ということ。
それともう1つ、その時にワールドカップの後どうなるのか、ラグビーが。ネガティブな映像が見えた、とおっしゃっていました。
先ほどアイルランドに絶対勝てると思われていて。つまり決勝リーグ、決勝トーナメント行けると、つまりワールドカップの成功というのはかなり見えていて、自信を持たれていたと。だけども、その後はどうなのかなという時に、ネガティブな映像が見えたとおっしゃっています。そして、ワールドカップは本当は大改革のチャンスなんだということをおっしゃっておられました。これはどういうことだったんでしょうか?
清宮:何のためにワールドカップを日本で開催したんだってところですかね。日本のラグビーの未来を作るために、今回ワールドカップやるわけですよね。花火あげて「綺麗だったね」では絶対困るわけです。ワールドカップが来たから、日本のラグビーはこうなったというものを、僕たちが準備をしなきゃいけないんですけど、それを何も準備をしていなかったわけですね。それをやるために僕は今の仕事に就いたわけですよ。何をやるかというと、日本ラグビーを変えることなんですけど、そのうちの1つがプロ化ですね。
ワールドカップに出てる国のベスト8の全ての国がプロラグビーなんですよ。日本だけアマチュアスポーツですよ。それで今以上の成績を、ここから積み上げていくことできますか?そういうことなんです。
企業スポーツってどうなのか、どういうことかと言うとですね、単純に子供たちが野球選手やサッカー選手のスター選手を見る様に、ああいうスターになりたい。ああいう選手になりたい。ああなったら、たくさんお金もらえる、年収が3億円、5億円みたいな。夢を見えるんですよ。ラグビーの選手は企業スポーツなんで、年収は公表してはいけない。だから、マイケルリッチがいくらか貰っているとか、田中選手がいくらとかなんて出ないじゃないですか。でも、プロスポーツ選手でいうと、バスケットの冨樫くんが1億円突破してる、なんて言ってね。170センチ無い選手が1億円もらえるんです、バスケットで。もう夢が一気に日本中を走りますね。そういうことなんですよね。子供たちに未来を見せるためには、日本のラグビーがプロにならなきゃいけないんだ。サステナブルじゃなきゃいけない、持続可能性がなきゃいけないと思っていて。
実はワールドカップが成功したから、今年のトップリーグは相当客が入るんですよ、お客さん。ただ去年までの考えで行ったら、本当に寒かったです。僕ヤマハ対キャノンっていう試合で、700人で試合したことあるんです。
臥雲:観客がですか?
清宮:監督ってスタンドの上にいるんですけど、向こうのスタンドに指差して、お客さんの数を数えるんですよ。
清宮:120人しかいなかったです。去年までそういう状態だったんですけど、今年のワールドカップのおかげでドッカーンと、どの試合もチケット完売してたんですけど。でもこれ持続可能性高いかと言うと、続くわけがないですよね。1月、2月、3月の試合って、めちゃくちゃ寒いですよ。
臥雲:松本はもっと寒いです(笑)。
清宮:松本もっと寒い(笑)。でも日本中どこも寒いですよね。楽しくラグビーワールドカップを見たお客さんが、1月2月の試合を同じ様な楽しみ方を出来るかと、多分出来ないんじゃないかなと思ってて。ブームが続く間はね、長く続いていく努力をいなきゃいけないんですけど。しっかりとしたプロの興行をしていかないと、ファンの人達は一瞬でいなくなるなと思ってますね。
臥雲:それはやはりこのワールドカップで、ラグビーの注目が集まっている時だからこそ、その改革へと続いていくのは、メンタルって言うか、勢いみたいもの。それを逃してしまうと、なかなか難しいんじゃ無いかという、そういう思いですよね。
清宮:そうです。もちろん、今だから出来ることってあるわけですよね。スポーツアダプタリティとか放映権の営業だったり、しっかり向き合ってくれる今の時期に組まないと、来年オリンピック終わって、もう日本中オリンピックで、「あれ、いつラグビーしてたんだ」言われかねないんだよね。それは他のスポーツもみんな同じ危機感持ってますよ。野球だってそうだし、サッカーだって。ラグビーも全く同じなんで。とにかく変わらなきゃいけない。
臥雲:松本でいえば、松本山雅がこの8年、反町監督の元で、J1に2回上がって、残念ながら今季先ほどの磐田と一緒に降格ということになって、そして新監督を迎えました。新しい体制になりました。本当にタイミング的にはこの松本山雅の第2幕、あるいは第3幕へステージを変えていく、そういうタイミングです。
先程のワールドカップが大改革のチャンス。つまり物事が上手くまだ行ってる時あるいは行った時に、もしチャレンジをするなら、そのタイミングでもう1つステージを上げる。そういうことが実はスポーツはもちろんですけども、私は松本の今の現状にも、重なるところがあるなと思って見てるんです。都市ランキングで非常に高い評価を受けているんですけども。そうしたものが今こうした評価を受けている、そこでもっと伸ばすために何をやるんだ、という観点で考えなきゃいけないということを、ちょうど私今日、清宮さんと対談するによって、清宮さんのインタビューを見返させていただいて、同じ思いでした。
臥雲:そして先ほど清宮さんの話にあった様に、今このラグビーのプロリーグ化を大会前に宣言されて、そして今1つの山場を迎える状況になっています。先程、清宮さんおっしゃった様に根底には、今回ラグビーワールドカップで大きな成功を収めたけれども、その前後を見た時には危機感というものを清宮さん自身感じておられて、そしてここで一歩前に進まなければいけない、という思いだということです。
どうでしょうか。単刀直入にプロリーグ化というのは、今進んでいける様な状況でしょうか?
清宮:これ、明日がね大一番なんですよ(笑)。
臥雲:そんな時に松本に来ていただいて。
清宮:僕もここが大一番あるとは、思って無かったのでこの日はOKしているんですけど。やっぱり2ヶ月ぐらい遅れているんですね。僕の頭の中のイメージと。色々あるわけですよ。で、明日大一番。
臥雲:大一番だそうです。皆さん注目していただきたいと思います。
清宮:反町さんの話、ちょっとしても良いですか?
臥雲:はい。
清宮:反町さん、知っているよって人。
臥雲:反町さん、松本ではもう神の様な存在です。
清宮:そうですか。嫌いだって人いたら…。いない。いないですね(笑)。皆さん好きなんですね。
昔、僕ある出版社で一緒に本を出そうとしていたんですね。僕と古田さんと反町さんと。要はいろんな競技のリーダー達が、あることをテーマに語るみたいな企画の本で。その本は編集者が出鱈目でもう、3、4回取材し、取材というか集まって喋っているのに、無くなったんです。出版自体が。すごい加減の失礼な男がいたんですけど。
でも、その企画のおかげで接点が出来ていたんですけど。彼は、清宮さんお願いがあるって言ってくるんですよね。ラグビーのロッカールームの空気を選手達に見せたい。まず僕がロッカーに入れないかと聞いてきたです。これ他のスポーツ競技の指導者でもいるんですよね。ラグビーのロッカールームの空気っていう。他のスポーツとは全然違うものがそこにはあるので、もし自分のチームの選手がこういう雰囲気で試合を望めば、その試合勝つんじゃないかって考える監督。これが反町さんなんです。他競技で同じ様なことを言った人、誰がいるんだろうと言うと日ハムの栗山さんですよ。試合前に僕にロッカー見せてくれって頼んできて。で、反町さんもある試合前に、僕に連絡してきたんですよね。試合の前にロッカー見たいだけど。でもその日、多分決勝だったんですよね。断りました(笑)。
臥雲:結局、他の機会も含めて。
清宮:いやでも、誰か違う人のは見てると思います。だた、僕が言いたいことはそういうことを考える人、ちょっと視点が違いますよね。こういう人が上にいると、そのチームって何か起きる、化学変化が起きるんじゃないかと思っちゃうんですよね。
臥雲:今のお話にちょっと通じるかどうかわからないんですけれども。ワールドカップの前に「ノーサイドゲーム」っていう、ラグビーのドラマがTBS系列で放送されました。これは全部では無いかもしれませんけど、清宮さんがモデルになってる。あるいは清宮さんのヤマハ時代の話がベースになっているというのは、本当でしょうか?
清宮:たぶん本当です。あの友達なんで。
臥雲:池井戸潤さんが。
清宮:池井戸さん。
臥雲:「ノーサイドゲーム」っていうドラマは見た方、あるいは見てらっしゃらない方もいらっしゃると思いますけど。要は会社に寄りかかっているラグビー界。それが企業に寄りかかっているラグビー界では、先程清宮さんがおっしゃられていた様に、観客動員があろうがなかろうが、試合は出来てるんだから、余計な波風立てないで今まで通りやってた方がいいんじゃないの?という協会全体のところに、あるチームのGMが「それではだめだ!」と言って、観客動員を上げるために独自の取り組みをしたりすることが、描かれているドラマです。これは清宮監督がベースだという風にお聞きしましたけど。レスリングの金メダリストを呼んで、そして選手にレスリングをさせる。それは要はスクラムを強化させるためでしょうか?
清宮:チームの強化にレスリングのトレーニングを取り入れたという話なんですけど、これまでの世界中のラグビーチームがですね、レスリングとラグビーは親和性があるね、要は共通点いっぱいあるね、っていう話でですね。例えば、夏合宿で1日やるとかね。春のシーズン、本番前に一回だけちょっと触ってみるとかという様な、そういう行為は結構どこのチームもしていたんですけど、1年中やったチームなかったんですよ。
僕は、そういうことを考える指導者なんで、「おい、1年中レスリング本気で取り組んだら、ラグビー選手どう変わるか、見たくないか?」っていうね。それがチームに、チームのカラーになっていくんじゃないかな。とにかくヤマハっていうチームは弱いチームで、勝ったこと無いチームだったので、チームカラーみたいなのを持ってないわけですよ。やっぱり自分たちがこういうチームだという、スタイルを持たないとそのチームは、持続可能性が低い。ずっと強いチームというのは、必ずスタイルを持っているです。
そういうスタイルを作るために、いろんなことを考えた中の1つがレスリング。本気でセッションやりました。朝5時半に月曜と火曜に週2回なんですけど、東京から金メダルと言いましたけど、銅メダル(笑)。
臥雲:銅メダル。
清宮:金と同じと書いて銅メダルです(笑)。
本物のコーチを呼ばなきゃいけない、って言って本物呼んで。本物のマットひかなきゃいけない。本気でやるとなったら、350万ぐらいかけて、レスリングマット敷いて、100万でレスリングシューズ買う。そんなことやっていたんですよ。
そしたらやっぱり出ました。他のチームとは明らかな違いが、差別化出来ましたね。スクラムはまた別なんですよ。これはレスリングという競技を通して、身体の使い方とか。例えば、試合以外のところですね。お前達が世界中のラグビープレーヤーの中で、1番倒れて起き上がる動作をたくさんしたよな。タックルして起き上がる。タックルして。選手達はそうやって、もう俺たちは、俺はグラウンドで0.1秒も倒れていないんだ、みたいなそういう風になっていくんですよね。倒れて立ち上がる。立ってる選手が多ければ多いほど、そのチームは強いわけですよ。そうやってチームってものを作っていく、ていう感じです。
臥雲:そう意味じゃ、本当にスタイルを作るんだ。そのためには徹底してひとつのことをやるんだ。
清宮:人がやってないことをやるということですね。
臥雲:今の立ってる、すぐ起き上がるっていうと、本当に今年のラグビーワールドカップの日本代表の、1番素人的に凄いな、他と違うな、と思ったことが、すぐ立ち上がるっていう部分のクイックネスと言いますか、それが徹底されているなぁとすごく、今のお話を改めて思いましたけど、それはやはり日本代表が強いということなんでしょうか?
清宮:相手とぶつかるところで、負けてしまうとすぐ立てなくなるんですよ。
臥雲:なるほど。
清宮:なぜ負けてしまうかと言うと、ディフェンス側がスタートで前に出れば、ディフェンスは勝てるんですよ。つまり、どちらが身体が大きいか強いかとか体重が多いかではなく、相手とぶつかる時の仕組みをちゃんと作らなきゃいけない。その仕組みができて、初めて戦えるんです。
もちろんぶつかった瞬間に、その時に相手が大きい、強い、速いというのはありますけど、そこで負けなければ、すぐにまた立ち上がってまた同じ動作ができるですよね。そこで1個でも歯車が違って、負けてしまうと、例えば出れない。ディフェンスが前に出れない時に、出れないから倒されるんです。ひかれるんです。ひかれるから次並べなくなる。並べないから出れないっていう風になっていくんです。そういうことの負の連鎖が起きない様なトレーニングを一式、ずーっとやってきたわけですよね。
臥雲:今の話がなんとなく、プロリーグ化とかも、要は出足、後手に回ってしまったら、それから取り返そうと思っても、なかなか難しいという部分に繋がっていく様な気もしますし、もう一度ちょっとお金の話に戻しますと。
どんなに魅力があって立派なものでも、やはり稼ぐ力が無いと続けていけませんし、そういう意味でこのスポーツの元々持ってる尊さや魅力を、やはり産業にしていくっていう部分が、もちろんプロ野球とかJリーグとかそうしたことで進んでるのもありますけれども、それを広げていく。ということは、やはり女子も。松本にもスポーツを山雅の今の状況を、かつてに比べたら素晴らしい状況になってるわけですけれども。このスポーツの稼ぐ力というもの。これはやはりプロリーグ化にこだわられたということの、先程選手の待遇というのもありますけれども。もっとスポーツに携わる人たちが増えていって、街づくりとかそうしたところにも波及していく様になると。この稼ぐ力についてどうお考えでしょうか。
清宮:これからのスポーツが地方都市の産業の中心になっていけないと思ってますね。磐田市も同じなんですけど。磐田市も人口16万人ぐらいです。でも16万人の中に、サッカーもラグビーもトップチームが2つがあるっていう、凄い恵まれた街なんですよ。そんな街にも関わらず、地元の人たちがその日本で唯一の言っても良いぐらい恵まれた環境を活かそうとしないっていうイライラしたものとかもありました。そんな中、磐田市にですね、新駅が出来るんですよ今度。
臥雲:新しい駅ですか。
清宮:新しい駅ですね。東海道線に。計画は40年前ぐらい前からあったんですけど。突然畑の真ん中に駅が出来るっていうですね。すごいチャンスな訳ですね。つまり駅から徒歩3分ぐらいところに。見渡す限りの田んぼがあってですね。そこが新しいスタジアムとか、スポーツ施設とかホテルとかスパとか、そういう風になれる可能性があるっていう様な話でしょうかね。
それで、そこの中心にラグビーとサッカーのトップチームがあるみたいなことをやると、16万の人口だけど、そこの施設はたぶん何百万人が使う様な施設になるんじゃないの、っていう様なことを考えていたりもしたんですね、磐田にいたとき。
いまはもう僕は磐田を離れているので、そこは次の人たちが考えることなんですけど。ラグビーのトップリーグで言うとですね。数字だけ聞いたらピンとこないと思いますけど、年間ですね、ラグビーのトップリーグって280億円ぐらい使うんですよ。チーム全部の予算を足すと。これは凄いことでしょ。約300億円ですよ。このお金って世界で3番目に大きい設備投資なんですよ。
1番はフランスです。フランスは世界でナンバーワンなプロリーグがあるんですよね。だから人、物、お金も全部フランスに集まってきている。次はイングランドです。当然イングランドはラグビーの発祥の地ですから。ここもプレミアリーグっていう素晴らしいリーグがサッカーとラグビー両方あるんですよね。同じコンセプトでやってますんで、ここも素晴らしい。600億ぐらいです。その次に来るのが日本なんですけど、稼いでいるお金で見るとね、イギリスとフランスは、ほとんど使ったのと同じ金額稼いでいるんですよ。600億使って、600億円ぐらい稼ぐですけど。日本は300億使って、30億しか稼げてないんですよ。これなんでって言ったら、アマチュアだからですよ。
臥雲:残りのお金は?
清宮:消えているだけです。消費しているだけです。使っているだけです。だって試合、年俸の1億円の選手ゴロゴロいる試合しているのに、700人しか会場に居ない訳ですから。そりゃ赤字になるでしょうっていう。僕も数えちゃいますよ。そりゃあね。っていう話なので、僕は300億使ったら、300億稼ぐ様な座組みにしましょうよ、っていうのを今言っているんです。多分そういうことですよね。
世界中の他の国がやっていることを、日本が出来ないってありますか、って言う。たぶん出来るんですよ。今回ワールドカップ終えて、出来る可能性がより高くなっているね。会場で試合してもたぶん満員になるだろうし。そんなことをやろうとしています。
臥雲:やはりその今の稼ぐ力がなければ、この環境を良くする。そうした元手が無いっていうことですし。
やはりプロ化の成功の鍵はホームスタジアムとホームタウンだと。これ川淵さん(※日本トップリーグ連携機構会長)と清宮さんが対談されたときの言葉で私は見たんですけども。やはりその先ほどのジュビロ磐田のエコパスタジアム。そして、新しい駅が出来て、そこに駅近のスタジアムの可能性もある。私これホームタウンとホームスタジアムだったら分かるなと思ったんですよ。ホームスタジアムの方が先に来て、ホームタウンが後に来る。川淵さんは、とにかくスタジアムがあるかどうかっていうことを、非常に重要視されていましたけど、稼ぐ力をスポーツが持っている時、これは清宮さんやはりそう感じておられるんですか。
清宮:満員のスタジアムって、選手が最高のプレイをする。これがどんなスポーツでも商品の価値が1番上がる黄金律ですよね。これが素晴らしいスタジアムであっても、人が居なければ、無観客で試合していたら、そのスポーツって、そのリーグって評価されない訳で。となった時に、自分たちの体力と場所に合ったスタジアムというのが欲しいなっていうのは、今のエコパと磐田の持っている悩みですよね。エコパは5万人入るんですけど、5万人入るスタジアムっていうのはですね。3万人以上入れないと赤字なんですよ。
25,000人だと、警備費とか会場の運営費で赤になっちゃう。それって要はサステナブルじゃないじゃないですか。だから、ちょうどいいぐらいのスタジアムを、いい距離で作ることが大事かな。ただ、スタジアムにかけるお金ということで言うと、昨日ニュースで出ていました新国立競技場。1400億、1500億円弱ぐらいでやっていましたけど、これ僕の話じゃないですけど。日本中の関係者がみんな言っていますけど、もう全く使えない物を作ってしまったっていうね。要は稼げないスタジアムですよ。
例えば海外で言うとですね、15,000人のアリーナを1,800億円かけて作る時代なんですよ。要は3分の一、4分の一の収容人数で新国立より大きなお金をかけて、でも回るビジネスがある。要は収益が取れる。つまり、世界は、世界のスタジアムの市場っていうのは、そうなっていて、今ピカピカの物を作って、要は金が動いていくっていうそういう流れになっているところを、日本は安くて汎用性が無いものを作っていってですね。結局世界の中で言うと、過去の様なものを作ってしまっているっていう様な感じかなと思うんですよね。
臥雲:松本は山雅のホームスタジアムのアルウィンが2万人弱ぐらいの収容人数で。
清宮:ちょうどいいですね。
臥雲:大体先程のスカスカでは無い、どの試合も15,000以上は入ると言う状態。J1の時にはコンスタントにそのくらいのお客さんが入るというスタジアムを持っているということは、やはり改めて今お話を聞いても強みだという風に思います。ただ大きければいいと言うものでは無い。
一方でさらにもう1つステージを、つまりJ1に定着をする、日本のベスト10を目指す、と言う様な事になった時に、器(スタジアム)がどうなるのかということは、今や松本山雅の市民の非常に公共的な存在になっている時に、アルウィンの未来というのを、どういう風に考えていくのかというのは、非常に市民の方々と、ぜひしっかり考えていきたいことだと思います。
清宮:いま僕が話した話と多分同じことなんですけど、結局安くて良い物作って、その時良くても、それはその時だけで、継続性は無いですっていうことを言いたいんですよ。しっかりとした物を作って、そこにビジネスが生まれていかないと、サッカーチームというのは大体一般的には、かけるコストに比例すると言われているんですね、チームの強さは。要はお金があれば強いチームは作れるっていうことですよね。お金が無いチームは、一瞬強くなるかもしれないけど、それはすぐ弱くなる。となったら、何が必要かと言うと、良い環境と良いコーチを連れてきて、良い選手(を獲得すること)じゃなくて、良いスタジアムビジネス。良い地域でのビジネスモデルを作らないと、そこにずっと良い選手はいないということなんですよ。
だからずっとJ1で優勝争いしてもらう様なチーム作るだったら、この松本に良いサッカーチームを作れるビジネスを作るしかないと、僕は思う。
臥雲:しかもそれは、収容人数が大きい物でさえあれば良いってことじゃないってことですよね?単に。
清宮:ですから2万人のスタジアムと、隣に1,000人泊まれるホテルが建って、そこに週末1万人ぐらい人が集まる様なショッピングモールとか、そういう物ももしあって、その利益がサッカーチームで使える様になれば、良い選手がずっと来る訳ですよね。ていうところで言うと、誰かが最初に投資をしないと、そういう事が出来ないので、頼んでやるという世界なんですけど。でもそれを人口が何人だからとか言って、ていうところで言うと、全然ここ松本は範囲に入っちゃうんです。商圏にたぶん50万人とか60万人とか住まわれている訳でしょ。
臥雲:はい。あのスタジアムの話にもうひとつだけさせていただくと…
清宮:誰かがどうかチャレンジしないといけない。最初に。
臥雲:7年後の国体は松本が主会場。陸上は松本の会場になっている。今アルウィンのある一帯のスカイパークという空港周辺にある陸上競技場も老朽化しているので。この国体に合わせて陸上競技場を、基本的には県ですけれども、新しくしようということが計画として打ち出されていますね。今の清宮さんのお話も聞きながら、もし昭和の時代と同じ様な、国体があるから、そして陸上競技場が古くなったからいうことで、ただの陸上競技場のリニューアルということになってしまうと、これは非常にスポーツを、この松本で稼ぐ力をつけながら物事を考えていこう時には、これしっかりした視点持たないといけないんじゃないかなと。
清宮:僕が市長なら、その土地を全部山雅のサッカークラブに運営させますね。権利とか全部渡して。ここでとにかく収益あげて、松本に最高で熱いチーム作れと、君たちの。絶対そうですよ。そうやらないと、変わりませんから。僕が市長だったら(笑)。
会場:笑
臥雲:清宮さんが後3ヶ月の間に立候補されると困るんですけれども(笑)。でも本当に山雅のパワーをサッカーを中心にしながら、でもこれサッカーだけに留まっては自分いけないと思うんですが。
臥雲:このスポーツ全体の、スポーツ全体、そして、この…。
清宮:僕が山雅の試合観たけど、凄いですよね。
臥雲:はい。
清宮:サポーターの熱量って。多分トップ3ぐらいに入るんじゃないですかね?
臥雲:本当にこのプロスポーツチームが地方都市にある。私もこの山雅のスタジアムで1番実は、興奮すると言いますか、楽しいのはチャントを歌うことです。
チャントとは応援歌。短い応援歌を繰り返し、繰り返し歌いますけれども。山雅のチャントは、山雅っていう言葉の言葉も入ってきますけど、どちらかと言うと松本をみんなで確認し合う様な、そういう場になっています。それが非常に強い場になっていて、当人私が好きなチャントが、「今こそ共に」っていうチャントがありまして。サッと出てこなくて恐縮なのですが、「今こそ共に行こう 俺たちの松本 今こそ共に戦おう 俺たちの松本」俺たちの松本っていうことを非常に高らかに、歌として表現出来る事が非常に、私は山雅のアルウィンへ行くことの意味として非常に自分の中で大きいんです。
またスタジアムに行って、子供が本当に小学校上がるか上がらないかくらいの子供が、俺たちの松本と言って、そしてそのサッカーを応援しながら、自分を鼓舞し、また自分の未来をよしやってやるぞという様な気持ちになる様な感じがですね。非常にこれはサッカーに肩入れをしているだけでは全くない、どちらかというと、僕らのちょっとの前で言うと、信濃の国をみんなで歌っている感覚に近いんです。信濃の国ってのは長野県の人は(分かるとおもいますけど)。
清宮:大体分かりますよ。
臥雲:なぜか全国でそんな歌を歌うってのは長野県の人間だけだ、って言われるですが。なおかつ信濃の国には実の長野という言葉が出てこないんです。
松本伊那佐久善光寺と言って、松本が1番上にきて、しかも長野は善光寺だって。長野の言葉が出てこない県歌なんですが。それをより、山雅のチャントは俺たちの松本と言って、鼓舞をしてみんなで一体感を高めて、そのサッカーの力をもっと様々なところに活かしていこうよと、言うことが今思われ始めています。
これを先程清宮さんおっしゃった様に、清宮さんだったら、国体の陸上競技場山雅に回せとおっしゃいました。今ちょっとそこまで言い切る自信ないのですが、本当にその方向を市民の皆さんと一緒に考えていく、そういうことだなと改めて思いました。この地方都市ある意味って話を、先ほどから磐田の話も清宮さんにしていただきましたけども。
清宮:今ちょっと僕思い出したことがあって、話して良いですか?
僕に磐田に行った時にジュビロに対して、ジュビロ磐田ってサッカーチームに対してプレゼンしたことあるんですよ。
要は日本で唯一無二の2つのトップチームが同じ市にあるから、総合スポーツクラブを作って、そしてそこでそれを使ってビジネスをしようと言ったんですよ。つまりジュビロ銀行、ジュビロ保険、ジュビロ新聞、ジュビロ飲料。要はこの街に住んで、サッカーを応援、ジュビロを応援する人たちは、全員それを購入する。それを契約するんですよ。そうすると一発で運営費出ますよ。例えば保険なんて、なんてと言ったらあれですけど、生命保険を1,000人の人が生命保険切り替えたら、それだけでチームの運営費出ちゃいます、みたいなね。
そういうプレゼンをしたことあるんですよ。いろいろあって、当然将来的には病院も運営する。ジュビロホスピタル。つまり街中あげて、この自分たちの街を代表するスポーツを応援しましょう!みたいなプレゼンをしたら、相手の社長に「へぇー」って言われたんですよね。へぇーって。この人ダメだな。
「清宮くん、ジュニア持っている価値って、意味って分かるかい?」とかって言われたですよ。ジュニアっていうのは、子供達のスクールチームのことです。「ジュニアは持っていたってね、ファンは増えないだよ」と言われて、「コストでしかないんだよ」って言われて、終わっているなこいつと思って、すぐ帰ったんですよ。その人もう今いませんから、全然。昔話。もう30年も前の話。
臥雲:この松本は持っている訳ですから、このプロスポーツチームを。
臥雲:この先ほどの歌の俺たちの松本であり、そして
臥雲:One Soul。ラグビーはOne Teamでしたけど。その前からのOne Soulという言葉で、この郷土愛や松本の人たちが1つになるという、そういうものが非常に前向きな形で積み重なってきていて。これをこれから本当に現状維持では、やはり私はもったいないなという風に思います。これを上にも横にも広げて伸ばしてという風に。そのために、どうしていけば良いのかということです。
臥雲:いま総合スポーツクラブという、そういう言葉が清宮さんから出ましたけれども。サッカーという1つの競技だけ、スポーツ、種目だけではない。とりあえずジュビロで言えば、ラグビーとサッカー2つということです。
清宮:これは、山雅がサッカーをその中心に押しているけど、いろんな野球も出来るしテニス出来るしラグビーも出来るしっていうものを、山雅はサッカーをリーダーとして作ってくれれば良いということなんですよ。何か強い物がなければ、その組織は出ていけないじゃないですか。だから、そういうイメージのものが総合型スポーツクラブですよ。リードする人間、役割のスポーツがいて、そのうしろをいろんなスポーツ、そこは音楽とかそういう文化も入ってきて良いと思うんですけど。そういう組織を作っていけるというのがこれ(総合型スポーツクラブ)ですね。
臥雲:今清宮さんからお話があった様に、松本で言えば、このサッカーの山雅に、じゃあ次何が広がっていくかと言った時に、現実的に1つ語られているのが自転車が1つあります。ヒルクライムという全国的にも、トップクラスの山登りの自転車競技が松本に2つあってですね。あと非常にロートバイクを乗るのには、適した気候や景観とあったり。
鈴木雷太さんという、オリンピック代表監督が松本に住んでおられると。そんなことから自転車というものは、1つ裾のは現段階では大きくありませんが、自転車。
あとやはり松本の場合、私もずっと野球少年でしたけども、松商学園という本当に伝統の野球校があって。松商の野球と言えば、松本の人たちが今は山雅ですけども。かつては松商の野球に松本の人たちが皆、1つになるというのがありました。やはりいずれ総合スポーツクラブいうことを目指していく時に、この松本において野球は、これどういう風に組み込んで一緒になっていけるかな。
清宮:そうなんですよね。だから僕がこの総合スポーツクラブの社長ならですね。子供達に野球の世界最先端の野球のアカデミーみたいなのを作ってあげるんですよ。
そのアカデミーを作った選手、卒業した選手が松商から甲子園に行く。そしたら松本市の人たちは、みんな1つになれる訳ですよね。盛り上がって、楽しい時間を共有というところで言うと、このクラブがビジネスとして、そういうことをやって収益を上がる様な仕組みを作るんです。今僕の同じ知っている仲間、仲間というか知り合いが、室内のベースボールアカデミーという事業をですね。やっていて、これぐらいの建物建てて、その中に最先端の野球の練習ができる環境なんですよね。
こんなのペイする訳ない。初期投資4~5千万かかるんですけど。こんなのペイする訳ないだろうと思っていたら、ボコボコ上手く行っていて、全国で5、6個同じ様な物建てているんですけど。実はこういうビジネス、アメリカ行くとですね、これ街がやっているんですよね。
公共のものがベースボールアカデミー。要はある街に1つ必ずそういう施設があって、そこを税金で運営して、元メジャーリーガーとかっていう選手達を雇って、再雇用している訳ですよ。アメリカの子供達チームに関係なく、街で1つのアカデミーで正しい怪我をしない野球を覚えて、自分たちのチームからこう狙っていくんだよ。というのがあっていうの、やっと日本にそういうことのハシリがきたみたいな感じ。
アメリカ行って、ちょっと中央都市、そういう街を回ってくるだけで、松本で何が出来るかというのは、すぐにイメージ出来る。
臥雲:清宮さんが静岡でスタートされた、アザレアスポーツクラブ。
清宮:アザレア。はい。
臥雲:先程の総合スポーツクラブのことも繋がるものと考えて良いんでしょうか?
清宮:さっきエコパスタジアムでワールドカップ終わった後に、何が遺せるかと考えた時に、何も残らないっていう結論になったんですよ。今のままじゃ。何か遺さなきゃ。
考えた1つがスポーツクラブを立ち上げて、そこで女子のラグビーをまずスタートさせること。女子のラグビーをスタートさせるって考えていたら、他のスポーツも当然やりたいよね、って話になってきて。でも全てのスポーツに手を出すのはちょっと無理だから、ちょっと何かフックをつけようってなった時にそうだ、女子に特化しよう。男の子ごめん。男の子っていうか大人ね。子供はやるんで。
女性と子供に特化したそういうスポーツが出来る環境、僕たちで用意したら、要はこのエリアに住んでいるね。子供達は楽しいよね。女性が沢山集まってきたら、元気出るよね。っていうただそんなコンセプトで、このアザレア・スポーツクラブっていうのを立ち上げたんです。アザレアっていうのは、静岡県の県花です。県の花なんです。
今は女子の7人制のラグビーがスタートして、去年1年間活動したんですけど。来年で2年目。今準備してるのが、女子の野球をやろうと考えています。硬式野球。1月にイベントやって、女子選手を日本中から集めてアザレアベースボールアカデミー、クリニックっていうのをやるんですけど。ゲスト誰が良いかな。と思ったら、やっぱり男前じゃないと女子集まらないじゃんみたいなね(笑)。高橋由伸前巨人軍監督呼んで、僕がその隣にいて、お前何をしているんだと話なんですけど。
臥雲:清宮幸太郎君は?
清宮:清宮幸太郎ちょっと時間あったら連れて行こうかなと(笑)。一応そういう形でやると、女子の硬式野球って実は、ほとんどやっているチームないんですよね。ただ面白いことに高校が増えているんですよね。女子の高校野球がすごく増えていて、つまりその時代がここで来るわけです。そうすると、要は受け皿が必要になってくるんで、必ず色んなところに女子野球みたいな出来てくるんで。
臥雲:女子野球は実は、先を越されちゃいけないなと思っていまして。長野県高校野球OBOG連盟というのが一昨年立ち上がりまして。私は広報企画担当副会長という。
清宮:よくわからないですね(笑)。
臥雲:女子野球。とにかく、この女子野球を今なら、今なら日本でトップになれる。これ今やらなければ、やっぱり清宮さんの様に、先取り、新しいもの、着眼のある人達はすでに始まっちゃてるわけですから。まだアザレアに負けない。松本が信州が、この松商文化をしっかり松商野球の文化を引き継ぎながら、そして女性を大切にする、女性をこれから活躍出来る、この大自然に囲まれた、信州松本。これはぜひ負けない様にやっていかなきゃいけないです。今松本国際高校という、新しい学校にやはり女子野球部というのが出来まして、スタートしました。
これは、どうも清宮さんとはライバルになっていくと思いますけれども。ライバルはいずれまた、これタッグを組んでということになるかもしれませんが。女子野球。野球じゃないだけじゃないです。これは。
清宮:いつ立ち上がったんですか?
臥雲:一昨年ですかね。ただ、もともとスタートした時は、いわゆるマスターズ甲子園という年配の方がもう一度甲子園で野球をやろう。あれは星野仙一さんが15年ぐらい前に提唱して始まったのがあるんですけど。
まずはそこに参画しようと始まったですが、それだけでは、高齢社会の方は良いかもしれませんけれども、この少子化社会。そしてその女性のパワーを惹きつけるということでは、非常に足りないんじゃないかなという風な思いから、女子野球。まだ先月、これからの話ですけど。
清宮:静岡と松本って何か高速繋がりました?
臥雲:中部横断道というのが、松本は少し外れているんですが、信州という意味で言うと。
清宮:もうちょっとですか?
臥雲:そうです。
清宮:3、4年?静岡も来年1つ高校。女子の高校野球の硬式立ち上がるんで、でも試合相手がいないんですよね。
臥雲:まだそういう状況ですよね。
清宮:ないから。そしたら、ね?
臥雲:まず対抗戦を。
清宮:近いですよね。近いというか近くなるんですよね。バスで1時間ぐらいで行けたりするのかな。
臥雲:そうだと思います。
清宮:ですよね。近いですよ。
臥雲:やはり先ほど、女性と子供という清宮さんの話ありましたけれども。今までその日本では子供がスポーツをやるっていうのは、学校の体育であり、そして部活と。それが僕らの時代も、もちろんそうですけれども、それがスタンダードで。野球とか他のスポーツでクラブチームというものが、どんどん今も出来ていますけれども。なかなかこれが単体であったり、あるいは親御さんのいろんな経済的な負担とかも考えると、この体育・部活中心になってきたスポーツのあり方をどう変えていくか。やはり先生の負担とか、いろんな障害が出てきている中で、この今の総合スポーツクラブ的なものへの移行というものは、非常にやはり私はぜひ進めたい問題だと思っているんですけども。清宮さんいかがですか。
清宮:これは市長で出来るんですよね。僕、静岡にですね、学校単位での部活動は無理だ、限界だ、これからは地域で部活動を支援する。そういう体制に作りをしましょうって言って、その教育再生会議みたいなのをやったんですよ。
これは県の組織なんですよね。県知事がいて、その下に教育委員長がいて、その下には委員会があるんですけど、そしたらそこで僕の意見が通って、じゃ磐田市でやってみようって話になったですよね。
県は予算をつけてくれたんですね。年間で3,000万ぐらいかな。要はやってみろっていうことで、3年間で予算がついたんですけど。磐田市でラグビーと陸上部を作るんですよ。市営の。
これを磐田部活って呼んだですけど。今のルールっていろんな学校で、やりたい子が、例えばラグビー。1人1人1人っているとするじゃないですか。Aが中学校、B中学校、C中学校。それぞれの学校に、それぞれの先生が1人必要なんです。顧問が。
つまりこの3人集めて、ここでラグビーを教えても良いんだけど、大人が3人連いてこないという、出来ないというのがルールなんですよ。それを磐田部活っていうところは、1人の責任者がいれば、10校から子供が来ても、1人で良いよっていうそういうルールなんですよ。これ画期的なんです。実は教育界で、これやったものないんですよ。それを静岡県やったんです。そしたら、いろんな自治体の人たちが見にきました。磐田部活って何やってんの?って。
これ実は、いま3年終わったんですけど、上手くいっていて、子供達がいろんな学校からちゃんと集まってきてですね。それをヤマハのラグビー部のOBがコーチしているんですよね。つまりそこには、責任者としては県で取った予算で、体育協会の職員が、元先生がいるんだけれども、指導者はヤマハのラグビーのOB。
必要なのは、やってる場所に親か交通機関ですよね、どうやって子供達をそこに集めるかというぐらいが問題点で。僕はそこも地域が担えると思っているんですよ。定年になったお父さんにバスが1台あればですね、グルグルとスクールバス回ってもらったら良いじゃないですか。街には絶対バス会社あるし、我々だって演習バスとかね。鉄道が持っている松本バスとかもいっぱいあるじゃないですか。そういうところが協力すれば、すぐにコミュニティが1個出来ちゃう。ていうのを実はこの静岡でやっていました。
臥雲:それは学校ごとの部活も残りながらですか?
清宮:いや、ないです。学校にはないです。ラグビー部はなんです。ラグビー部なんてものはなかった。
臥雲:そうですね。確かにそうです。
清宮:陸上部も元々あるけど、教える人がいないんで。いろんな学校で陸上教えている人はちゃんとした早稲大学の競争部のOB、陸上部OBなわけですよ。で、いろんな学校から良い先生から教えてもらう。これ松本出来ますよね、一瞬で。
臥雲:非常にその部分の需要が高いです。やはりその、
清宮:ということだと思うんですよね。
臥雲:ひとつ1つの学校は生徒数少なくなる。部活といっても、例えばサッカー部と卓球部だけとかいう風にもならざるを得ない。そうするとどちらかを選ぶしかない、いうことが色んな生徒数少なくなったらと起きています。
清宮:僕がね、これプレゼンした時ね。これね。書道部も数学部も音楽部もなんでも出来るんだよ、って言ったんですよ。そこにいた人たちみんな凄い、最高って言ったんだけど、現場の先生達はやっぱり乗り気じゃないんですよ。これ本当にそこ問題ですよ。
誰が聞いても、子供達のためになる話じゃないですか。数学やりたい子がね、数学の先生いなかったら、数学の能力伸びないわけですよ。みたいなことを僕やっています。
臥雲:今部活改革ってなんとなく、全く起きてないわけではなくて、外部の指導者の方に協力してもらうとか、学校ごとに色んな取り組みをやっているわけですが、そのスケールではどうしても限界もあって、出来るところ、全然出来てないところ、かなり凸凹もあります。
今の磐田市部活ですか。これはいただきだなと。松本市部活。是非これを2020年は無理でも2021年からスタート出来る。まずは何のスポーツからでしょうか。まだラグビーはどこにもありませんので。これは本当に、ありがとうございました。
会場:笑
清宮:あとない部活は作りやすいでしょうね。既にある部活で作ると取られたとかなんとかね。そうなっていくんですけど。
臥雲:やはり、学校の現場でずっとこれまで努力をされてきた先生方の気持ちというものは、なかなかここは一気にいかないところもあると思います。あるいは教育委員会の体制とかそうした事も、政治の力で見直す部分は見直さないと進まないと思いますけれども。時代はやはり人口が減ってくんだったら、減ったなりの新しい仕組みを作らなきゃいけませんし。やはり今日ずっと、話を清宮さんとさせていただいても、スポーツの持つ力というものは、地方都市において、いろんな稼ぐ力をつけ、そして子供の教育の面、様々なプラス要素がやはりあると思いますので。ぜひこの部分は、しっかり松本の柱として位置付けていきたいと思います。
最後にちょっとスポーツから離れますが、清宮さんは高校、高校日本代表。早稲田大学。ヤマハ発動機。ずっとキャプテンをされてきています。今お話を聞いてもわかる様な、男気、兄貴分、親分肌みたいなイメージがありますし、1つその、リーダーシップ、これは人を育てるという面で繋がると思うんですけど。どんなこだわりと言いますか、意識をされてきたものがありますでしょうか。
清宮:僕は、必ず自分が先頭に立っておきたいとか、そういうことは全然ないんですね。大学でキャプテンになる時も、嫌で嫌で。そのキャプテンやるとですね、人前で話をさせられるとこですね。毎回毎回、スピーチさせられて、めんどくさいじゃないですか。絶対やりたくないと思ったんだけど、でも自分の思い通りではないことをやるのが嫌な人間で。積極的にこうしたいというわけじゃないんですね。
そういう自分の横柄に素直に生きていると、なんだか知らない間にリーダーになってしまった。人の言うことを聞きたくないっていう、ただそれ一点です。本当に。何かをやるって別に、決めて生きてきたわけじゃないし。
目の前の目の前のことを、ずっとやっていたら自然に今の位置に来たというみたいな感じなので。ただ僕をこういう考え方に育てたのは、母親かなっていうのは自信を持って言葉にできますね。あの母がいなかったら、僕は今の様な思考になってなかった。
臥雲:それはリーダーたれという様な。
清宮:いや、そうではなく。自立をさせるっていうことだったと思います。僕は誰よりも自立するのが早かったと思うし、そういうことを促された。僕は2人の息子を持つ様になって、自分の母親の偉大さに気づくんですよ。今も僕はすぐ口を出したり、手出したりしちゃうけど、自分の母親はずっと我慢して、自分で気付くまで待ってくれたとか、何か取り返しができない様な事態になるまで、口出さないですよね。で、凄いことが起きて、ほらそうなっただろって言われて。先に言ってくれればいいじゃないか、と。
会場:笑
清宮:でも先に言ってしまうと、本人気づかないですよ。例えば、僕が可愛がっていたペット。ペットが亡くなる。殺されるんです。イタチに喰われるんですけど。イタチに喰われることは母親は理解していながら、僕に声をかけないんですよ。とかね。
もうね、そういう教育の原点っていう人材育成と書いていますけど、人をこう作るうちに、人間ってのいうのは親かなと思います。
臥雲:ありがとうございます。私も実は、キャプテンを何回かやっておりまして。高校時代、背番号10のキャプテンでありました。ラグビーだと背番号10はスタンドということで中心選手なりますが。野球で背番号10ということは、9人のあとで試合になかなか出られない。そういう立場でキャプテンを務めました。
これは私にとっては、当時は悔しい思いでしかないんですけど、今となってみますと、プレーヤーであるだけがリーダーではない。あるいは統率して、仲間と一緒に何かを成し遂げていく時の役割というのは、色んな形があって。自分がとにかく野球で成功でしたいという思いが1番強かった頃に、野球では駄目だったんですが、じゃあ、お前にやれることはこういうことじゃないかということで、その周りの方、あるいは自分に自信を持って、背番号10のキャプテンをさせていただきました。
今って結構増えているんですよね。野球強豪校でも、レギュラーメンバーでない選手がキャプテンなって、それで本当に大きなチームをコントロールし、強くしていくということがございます。
清宮さん、今日改めてお話を聞きながら、非常にパワフルでアグレッシブなリーダー像だなという風に思いました。実は清宮さんが早稲田大学時代、次の方に譲られるというか、清宮さんの後に早稲田大学の監督になったのは中竹竜二さんという方で、この方はリーダーシップという言葉を使わず、フォロワーシップ。つまり1番後ろから後押ししていく様な、そんなリーダーのあり方ということを掲げられたのを覚えています。
清宮さんと中竹さんというのは、非常に対照的な、この同じ早稲田大学のラグビー部の監督としてもスタイルだったなと思います。
私としては、この自分のリーダーのタイプ。どういうタイプだろうな、と。
清宮さん的なリーダーシップ。
中竹さん的なリーダーシップ。
この言わば、いいとこ取りを私はしたいと思っております。今日は、少し清宮さんに押され気味だったかもしれませんが(笑)。私の目指すところは、そうしたところだということもボソッと言わさせていただきたいなと思います。
予定の時間を過ぎました。本当でしたら、ここでというところなんですが。
私今日やはり清宮さんの話聞きながら、ちょっと俺に質問させてくれっていう方がいらっしゃるのかなと思って、こちらからこう拝見をしていました。
もし、限られた時間でありますけれども、ご質問ある方はお手を挙げていただければ、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ、田中さん。
質問者:清宮幸太郎さん、息子さんラグビーに来ないかと思われたことありますか?
清宮:ラグビーやっていたんですよ。3歳から。当然にラグビー選手になるものと思っていましてね。小学校1年生の時にある試合見ちゃったんですよね。斎藤佑樹君との田中将大君との決勝戦ですね。あの再戦の方。実は本番の延長15回同点の試合は菅平にいたんですよ。菅平で僕と一緒にですね、後の大学の総長と一緒にリビングでこうやってみんなで見ていたんですよね。おお延長戦なっちゃった、おお再試合だ、明日だよ。なんて言って、そっから試合見たいと言い出して息子が。長野だよここは。菅平だよ。山の上にいんだよ今。でもそっから嫁は連れて行きました。
臥雲:甲子園?
清宮:甲子園。僕は早稲田の合宿で来てるからいるわけですよ。行きたいなら行くかと言って。急遽ですよ。長野で1泊する、菅平に泊まる予定だったのをやめて、前の日に東京戻って、次の日の朝の始発で神戸、兵庫県行って甲子園行って見たの。そしたら、あんな試合になっちゃったの。それでもうね、野球。まぁ、運命かな。
臥雲:野球界にとっては非常に喜ばしいですね。
質問者:どうも、お話ありがとうございました。今日のスポーツということで総じてお話されたんですが、臥雲さんも野球をお好きな様なんですが、野球をですね、ぜひ子供達に今いろんなサッカーとかそういうので、子供たちがそちらに行っていますが。清宮さんおられて誠に申し訳ない、野球の話をして申し訳ないと思いますが、ただ野球はですね。私はずっと見てまして、あんな煩わしいスポーツはないなと。
それとですねルールがもの凄く細かい。それと監督のサイン通り動かないと野球は成り立たない。それでサッカーとかラグビーはですね。意外と個人的なプレイが評価されると思います。野球の場合は、サインを見逃してホームラン打っても、決して褒められません。
1つのですね、協調性とかルール。特に今の子供達に欠けてる面は、野球によっては私はですね。多少期待出来るんじゃないかということで、臥雲さんの野球の方の取り組みを1つよろしくお願いします。
臥雲:はい。清宮さんへのご質問でもあったかと思いますが、私がお答えさせていただければと思います。野球人口は本当に減っています。
お金は比較的かかるとか。そういう特殊な道具、投げたり打ったり特殊な動作だったりとあります。私は実は今のご指摘と少しズレちゃうかもしれませんが、1番野球が変えなきゃいけないのは、今のホームラン打っても怒られるとか。
つまりの個人の自由とか、そういうものを抑え過ぎているところが、今の親御さん、特に女性の方や子供達にとっても、そこが魅力が半減させちゃってるなぁ、と。私は実は、小学校の野球の監督を松本に戻ってくる前に4年間やっておりまして。
それでバントをしない。バントをやらないとかですね。ウェイティングと言って、打つなっていうサインを出さない。そういうことを徹底しました。それは野球のそういう部分を変えないと、子供達楽しくないし。そして私自身が実は1番嫌だったんです。プレイヤーとしてやってた時に。
身体があんまり大きくなかったんで、バントのサインばっかり出るんですね。もちろん、ホームランは打てないにしても、野球の1番の楽しみは打つことですし。そして、監督の指示は一定は必要でも、行き過ぎた統制、規律というものは、やはりやる気を削いでしまう。野球の変えていく部分でいうと私はそうだなって思っていて。
そういう新しい野球を、先ほどの女子野球の時も申し上げましたけども。ぜひ取り入れて、この松本の良いところは山雅であり、ラグビーの大成功で押され気味ではありますけど、大谷翔平君の様なそうした新しい時代のスタイルも出てますし、ぜひ松本でも松商の野球を、先ほど申し上げましたけれども、今の時代にと思っております。
質問者:すいません、時間の無いなか。少数なんですけど、松本でラグビースクールをやっています。
先ほど清宮さんのお話もあったんですけど、このワールドカップ効果は凄く大きくて、実は今松本ですと、松本ラグビークラブというのと、波田に上高地ラグビースクールという2つございます。
でも小学生、中学生やっているんですけど、人数が少なくて中学生は6、7人でやっている。小学生は5、6年生が9人。3、4年生が7人。チーム編成が5人という様な、そんなチーム何ですけど。ギリギリなんとか、ギリギリみんな出てもらって足りてるっていうようなチームで。それも2つ合同で維持してきたとこなんですけど。
今回ワールドカップ効果は本物はすげぇなんて思ったんですけど、うち正直7人しか居なかったですけど、この効果で7人新たに入ってくれまして。やっぱり子供達の目っていうのは凄いなって思って。やっぱり本物を見ると、やってみたくなります。お父さん、お母さんいるけど自分がやりたいと思いました。って来てくれていて。そういうのって凄いなって思っています。それとさっきお話にあったんですけど、弱小のラグビーやってる子は少ないので、ぜひ松本市の地域の中学生また、高校も少ないもんですから、そういうモデルケースで少ない弱小チームが、なんとかこうみんな細く長く続けて、好きなラグビーを続けてくれる様な、そういう環境作りをご支援いただけたらなという風に思っています。
本当に、20年前ぐらいに私スクール出始めたんですけど、その時に小学3年生の子が2人、僕は早稲田行ってラグビーしたいです。うそだろうと思いながら、そうだね。頑張ろうねって言って。本当にその子達2人。早稲田に行って、ラグビーしてくれました。1人は本当に頑張って9番とか。
清宮:誰なんですか?
質問者:クマガイ君っていうんですけど。今、福岡選手の前に医者になるって言って、早稲田を出て、今お医者さんの学校に行って、今6年生ぐらいで。そんな子がいて、やっぱりラグビーって人を早く大人にするし、自立化というのも含めてあるので、なんかそういう面で地域でそういう仕組みを作っていただけるとありがたいなと思って、話を聞かせていただきました。またご支援よろしくお願いします。
会場:拍手
臥雲:ありがとうございました。清宮さん、一言よろしいですか。
清宮:当然、ワールドカップレガシーっていうね、活動があってですね。リクエストすれば、日本協会から選手やOB達が各地を回ってラグビー指導するとか、そういうこともしていきますので。
リクエストをどんどん、声を挙げて欲しいなと思いますね。何を求めているか現場は。今ブームで子供達たくさん来たけど、多分どうやって教えたらいいかとか。ボールも今3つしか今まで無かったのに、こんだけいっぱい人が来たら10個ぐらい買わなきゃいけない。どうしたらいいんだ、とかね。色々あると思うので。ちょっとそういう声を届く様に、長野県協会から伝えることですよね。そうしたらそういうの対応していくと思うんですけどね。
臥雲:ありがとうございました。それではよろしいでしょうか。
清宮さん、本当に長い時間ありがとうございました。
清宮:スポーツを通じたまちづくりというのを、ここだけでなく日本中でですね。行われていくムーブメントだと思います。ぜひ、ゴニョゴニョ言っちゃいますけど、なっていただけたら嬉しいです。
臥雲:ありがとうございました。それではもう一度、清宮さんへ大きな拍手をいただいて退場とさせていただきます。
会場:拍手
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