世間が仕事納めとなる前日、川崎のマンションから必要最低限の荷物をクルマに積み込んで、故郷・松本に戻ってきました。底冷えのする寒い夜で、重い荷物を持つ指がちぎれそうに痛かったことを憶えています。思わず弱気が顔を覗かせそうになった自分を、もう後には戻れんぞと奮い立たせてから、ちょうど1年が経ちました。
2016年は、僕にとって、忘れられない年になると思います。政治家になるための通過儀礼である選挙に立候補することは、どこかで意識をしていたものの、理想と現実の乖離を思い知らされました。それでも、政治学者の御厨貴さんが評するように、「自分の名前を連呼して、握手をしまくっているうちに、羞恥心がぶっ飛んで快感に転じる段階がある」ことを経験し、地方都市で暮らしている人たちの息づかいを体で感じることができました。評論家ではなく政治家として、中央ではなくローカルの視点で、現実を見ていこう、解決策を考えていくんだという覚悟が決まりました。
決して未来の展望が明るいわけではないのに、日本では、奇妙な安定と平穏が続いています。強力な金融緩和と消費税増税の先送りで当面は凌いでいますが、超少子高齢化がもたらす国民の不安を払拭する道筋は見えません。むしろ、国全体としては手詰まり感が強まっているように見えます。それぞれの地域が、ローカルの視点を生かして、大都市圏にない交通・住宅・保育・教育の環境を整え、若い世代を引きつけ、稼ぐ力を高めて、長寿の人たちの医療や介護の費用を賄っていく。松本は、それを可能にするポテンシャルを備えた数少ない地方都市だと感じます。「100年ライフ」の先駆けとなる都市が、松本の未来です。
2016年は、冷戦崩壊から始まったグローバルの時代の転換点でもありました。牽引してきた米英両国の政変、アメリカのトランプ氏勝利とイギリスのEU離脱が、その象徴です。地域・人種・階層・世代の分断を背景に、経済のグローバル化には、一定のブレーキがかかることになるでしょう。ただ、ITをはじめとした情報通信の技術革新に後押しされたグローバルの流れが、逆行することはありません。これからもヒト・モノ・カネが国境を越えて移動する世界と向き合い、そのメリット・デメリットをどうコントロールしていくかが、21世紀を生きる僕らにとって大きな課題であり続けます。
松本平を見下ろす中山地区では、地元の有志が遊休農地を借り受けて、のべ70haの規模で蕎麦を栽培し、自ら販路を開拓することで、北アルプスを望む蕎麦処として新たな活路を見出そうとしています。一方、2020年のオリンピック開催に向けて、東京へのヒト・モノ・カネの一極集中は、さらに加速する勢いです。松本をはじめ地方都市を取り巻く環境は、ますます厳しくなることが予想されます。だからこそ、Lの視点で、Gの時代を穿つ。2017年の、僕の目標です。
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