松本の朝は、まだ手が悴むほどの寒さです。寒さが、透き通るような空の青さと同居しています。冬場の晴天率の高さを、この都市のアドバンテージにする方法はないものかと思います。1年前の3月13日は、松本では珍しく朝からどんより曇っていました。市長選挙の投票率が少しでも上がるように、何とか晴れて暖かくなってくれと願っていたことを思い出します。
この1年、大半を松本で暮らし、月に1、2度、川崎に戻る生活を続けてきました。地方都市に拠点を置いて見える光景は、東京で働いていたときに見ていた光景とは、やはり随分と違います。この落差をどちらの側から見るかが、東京一極集中という日本の社会構造を本気で是正する必要があると考えるかどうかの違いになっているのだと思います。現状は、東京周辺で生まれ育った人たちが、政官財の中枢を占めて決定権を握り、その枠組みが相続・教育・就職を通じて強化され、東京一極集中がさらに加速する方向へ進んでいます。こうした流れに抗って、チャンスが平等に開かれている社会を築くことを、ライフワークにしたいという思いを強くしています。
東京一極集中と並行して加速しているのが、安倍1強体制です。先の自民党大会で、総裁任期を3期9年に延長することが正式に決まり、安倍総理大臣が最長で2021年秋まで政権を担当することが可能となりました。難題とみられたアメリカのトランプ新大統領との関係構築を徹底した接近戦で無事に乗り越えた今、地方都市から眺めても、1強を揺るがす存在が見当たらないどころか、1強が半永久的に続くように錯覚しかねい状況となっています。「自民党は、憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それが自民党の歴史的使命だ」。安倍総理大臣の「本丸」へ向けた意欲の表明には、かつてない自信が漲っています。
そうした中で降って湧いた、戦前の教育に回帰するような小学校設立をめぐる問題が、安倍政権を揺さぶっています。森友学園の国有地取得問題は、理事長が系列の幼稚園の園児たちに安倍総理大臣を礼賛させたり教育勅語を暗唱させたりする映像と相まって、「柔らかな保守層」の離反を招きつつあります。こうした状況について、毎日新聞編集委員の伊藤智永氏は、「漠然と『保守』という名で一括りにしてきた『右派政権・勢力』の中に、保守観のズレが顕在化してきた」と表現しています。「保守」という緩やかな括りで築かれてきた1強体制は、もしかすると思いのほか脆いものなのかもしれません。
そもそも「保守」とは何を指すのか。地方都市、とりわけ松本に暮らしていると、改めて多義的な言葉だと感じます。歴史的に長く続いてきたものを保ち守ることが「保守」とするなら、それぞれの地域で少なからず異なるはずで、松本の「保守」とはどのようなものなのか、なかなか明確な答えにたどり着きません。それを探ることが、当面の仕事かもしれません。これからの1年、松本は、イオンモールの開業と市役所の建て替え問題で、否応なく大きな変化の波に晒されます。MATSUMOTOの、何を守り、何を変えるべきなのか。思考停止の現状肯定論やステレオタイプの二元論に陥ることなく、偏信を捨て、兼聴していくつもりです。
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