今年の3月13日、松本は、春本番を先取りする暖かさとなりました。そして、中央では、森友問題が急展開を見せました。十分に咀嚼できていない点もありますが、自分にとって4年間の折り返しという節目にあたる日に、日本の予算と税制を握って「官庁の中の官庁」と呼ばれてきた財務省で起きた「公文書改ざん」の深層を、俯瞰的に考えてみたいと思います。
「安倍城の後ろの石垣の石が、日に日にこぼれ落ちてきている」。
佐川宣寿国税庁長官が辞任した先週9日、その日の早朝に配信された、元自民党総裁・山崎拓氏のインタビュー記事に出てくる言葉です。安倍3選は既定路線という見方が大勢となっている中で、面白いけど希望的観測の域を出ないかなと感じましたが、いま改めて読み返すと、実に的を射た指摘だと思います。
山崎拓氏が語る「安倍城の崩れかけた石垣」(日本経済新聞、2018年3月9日)
去年の秋、安倍政権は、小池・前原両氏の失策に助けられ、衆議院選挙で想定以上の勝利を手にしましたが、その直前まで厳しい批判に晒されました。前文部科学事務次官が「総理のご意向」と記された文書の実在を証言したことで潮目が変わり、縁故が幅を利かす政治決定や権力者に対する度を超した忖度に、いい加減にしてくれという空気が充満していました。こうした空気は、選挙の議席には反映されなかったものの、いまも底流に目に見えない形で流れ続けているのだと思います。
「私や妻が関係していたということであれば、総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」。
1強体制が磐石だった、去年2月17日の衆議院予算委員会で、安倍総理大臣がこう言い切った瞬間から、今回公表された改ざん前の公文書は、政府内に存在してはならないものとなりました。言うまでもなく、安倍総理の退陣につながる可能性を孕んでいるからです。
真相はわかりませんが、その前後に文書の存在を知った財務省の関係者、とりわけ理財局長の佐川氏は、墓場まで持っていくしかないと考えたのではないでしょうか。その後の佐川氏が、含みを持たせず官僚らしからぬ断定調の答弁を続けたこととも辻褄が合います。ところが、墓場まで持っていくはずのものが、朝日新聞の調査報道によって顔を覗かせ、近畿財務局の担当職員が自殺したことで、一連の隠蔽は限界に達しました。どこかの時点で政権中枢の意向が働いたかどうか以上に、こうした隠蔽を生み出した1強体制そのものに、問題の本質があると考えます。
少し筋道から外れますが、公表後の記者会見で、麻生財務大臣が「最終責任者は理財局長である佐川」と述べたことに、強い違和感を覚えました。本来、財務省の最高責任者として頭を下げる場面で、「佐川」と呼び捨てにする意味は何なのか。安倍1強体制の闇の深さが、図らずも露呈したように思います。そう考えると、改ざん公文書の全面公開は、追い詰められた財務官僚が政権中枢を道連れに実行した「自爆テロ」のようにも見えてきます。
市長選挙から丸2年が経ち、人口24万の地方都市・松本に暮らして日々感じるのは、集権から分権へ、1強から多元へ、という流れが、人口減少時代に即した政治のあり方だということです。きのうは、春めいた陽気も手伝ったのか、松本駅前ですれ違った女性や松本城で観光人力車を引く車夫の方から、「あっ、ガウンさんだ」「街中でよく見かけますよ」と声をかけていただきました。これからの2年、さまざまな地域や分野や年代の人たちの暮らしや活動を見つめ、話に耳を傾け、「分権の時代」「多元の時代」にふさわしい構想を練り上げていきたいと思います。
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