ダウンサイジングの時代と都心回帰

昨年の暮れに痛風が再発し、平成30年は、酒を控えてのスタートとなりました。松本に戻って2年、食生活に気を配る余裕もなく日々過ごしてきたことを反省し、少しスリムになった身体を維持して活動を広げていこうと決意を新たにしています。そんな年初に報道や書籍を読んで改めて思うのは、是非もなく日本は「ダウンサイジングの時代」に入ったんだなということです。

ダウンサイジングの時代と都心回帰

「大陸棚から日本海溝に落ちるようだ」。けさの朝日新聞に掲載された私立大学の関係者の言葉です。この10年ほど何とか120万人程度で横ばいだった18歳人口が、再び減少期に入り、20年後には91万人に減ると推計されています。社会を長く支えていく若者の大幅で急速な減少は、私立大学の死活問題であるだけでなく、子どもや孫の世代にわたり日本全体で活力を維持していくことの難しさを象徴しています。

ダウンサイジングの時代と都心回帰

こうした人口急減の未来予測を踏まえて、いま加速しているのは、「都心回帰」です。東京23区の人口は、昨年1月時点で、930万人。5年前に比べて8%あまり増えています。中でも、中央区・千代田区・港区の3つは、それぞれ20%前後も増加し、大規模な再開発に伴って「都心の中の都心」に生活の拠点を移す流れが強まっています。
こうした人口の移動は、なぜ起きているのか。ある経済評論家は、人口が減ってくると、人はより便利な場所に向かって移動する、マクロでもミクロでも利便性の高い場所に人口が集約する形で、総人口の減少が進むだろう、と指摘しています。自分の肌感覚としても、基本的な方向性として妥当性の高い見方だと思います。

ダウンサイジングの時代と都心回帰

松本市の人口は、1月1日現在、24万342人で、減り幅は少ないものの、6年連続の減少になりました。地区別に見ると、合併した山間地域と共に、中心市街地の落ち込みが目立っています。

2050年には総人口が20万人を切ると推計されている中で、松本は、東京の「都心回帰」の流れをどう受け止め、中長期的にどのような都市を形づくる必要があるのか。僕は、いずれ松本でも、空洞化から「都心回帰」へ、意識の変化が出てくるだろう、それを先取りする総合的な政策やプロジェクトを打ち出す必要があると考えます。

「ダウンサイジングの時代」には、松本駅と松本城を中心とするエリアをもっと便利で魅力的な場所にすることが、若者や勤労世代を引きつけ、松本市全体の活力を高めていくのに欠かせないと考えます。

同時に、一見逆説的ではありますが、郊外や山麓に生活の基盤となる医療や教育の拠点を堅持し、交通や情報通信のインフラを抜本的に整備し直すことで、広域的なネットワークを充実させることが必要です。

ダウンサイジングの時代と都心回帰

そのためにポイントとなるのは、60年ぶりに建て替えが検討されている市役所の新庁舎です。松本の都心を市民にとっても旅行者にとっても便利で魅力的な場所にするための大きなチャンスと考えます。松本駅を基点に新時代の広域的なターミナル機能を創り上げ、松本城とその周辺を名実ともに世界基準の観光エリアとして整備することに最大限資するよう、市民の英知を結集して最善の道を探るべきです。

先週、長男の結婚式に参列し、祝福してくれる大勢の仲間たちの姿を眺めながら、若い世代が主人公になる社会を作っていくことが、自分がこれから為すべき仕事だ、と改めて胸に刻みました。「ダウンサイジングの時代」に最適なサイズと機能を備えた都市を若い世代へ引き継ぐために、今年は一回り大きな活動を松本で展開していきたいと思います。


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